2. サステナビリティ戦略の全体像

(1)2030Vision

2021年、大和証券グループは2030年に目指すべき姿として、経営ビジョン2030Visionを策定しました。そのなかで、当社グループにとって中長期的に重要な社会課題を把握・整理し、ステークホルダーとの対話等を通じて、経営戦略上のマテリアリティを特定しました。

そして2024年には、中期経営計画“Passion for the Best”2026の策定に際して、サステナビリティの観点を含め、当社グループがどのような企業グループであるべきかを改めて議論し、2030Visionを改定しました。

サステナブルな社会と当社グループの価値向上を実現するため、KPIにより取組みの進捗を管理し、2030Visionの実現を目指します。

2030Vision策定・改定プロセス

2030Vision及びマテリアリティ

2030Visionでは、「金融・資本市場を通じ、豊かな未来を創造する」をコアコンセプトに、金融・資本市場のプロフェッショナルとして、質の高いソリューションを提供するとともに、社内外のイノベーション促進、脱炭素社会への貢献等を通じ、社会の「豊かな未来」の実現に貢献します。

気候変動への対応については、マテリアリティの1つである「グリーン&ソーシャル」において、サステナブルファイナンスをはじめとする社会課題の解決に資する金融商品・サービスの提供に注力します。また、「サステナブル経営の基盤」において、サステナブルな企業経営を支える基盤の強靭化の1つとして、自社の脱炭素化を推進しています。

2030Vision

2030Vision 金融・資本市場を通じ、豊かな未来を創造する

マテリアリティ

人生100年時代

人生100年時代を誰もが豊かに過ごせる社会の実現に向け、多様化するお客様のニーズに合わせ、資産価値最大化に貢献します。

イノベーション

国内外のパートナーとの連携を通じ、社会を豊かにするイノベーションの創出を目指すとともに、新しいビジネス機会を拡大し、自らの変革に挑みます。

グリーン&ソーシャル

脱炭素をはじめ持続可能な社会の実現に向け、社会課題の解決に資する金融商品・サービスの提供に注力します。

ダイバーシティ&インクルージョン

競争力の強化に向けて、社員一人ひとりが多様性・専門性を発揮し、成長や働きがいを感じられる組織を目指します。

サステナブル経営の基盤

「人生100年時代」、「イノベーション」、「グリーン&ソーシャル」、「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現に向けて、サステナブルな企業経営を支える基盤を強靭化します。

(2)サステナビリティKPI

気候変動を含むサステナビリティの推進は、社会の持続可能性への貢献のみならず、収益の拡大やレピュテーションの向上、ガバナンスの強化等を通じて、サステナブルビジネスの拡大、及びその土台となるサステナブルな経営基盤の強化、ひいては企業価値向上に貢献するものと捉えています。

サステナビリティ施策の方向性

当社グループでは、中期経営計画“Passion for the Best”2026の策定にあわせて、サステナビリティKPIを新たに設定しました。特に気候変動と関連性の高いグループKPIとしては、SDGs関連債リーグテーブル及びGHG排出量が含まれます。

  • ※1DOI:大和証券オフィス投資法人、DLI:大和証券リビング投資法人、DLP:大和証券ロジスティクス・プライベート投資法人
  • ※2自社のGHG排出量はScope1+2の合計(マーケット基準)。2030年度単年
  • ※32023年度3月末時点。投融資ポートフォリオのGHG排出量の対象は、電力セクターへのプロジェクトファイナンス。2030年度単年。一部推計値を含む

当社グループでは、各本部・グループ会社のサステナビリティ責任者を中心に、KPIのモニタリングを継続的に実施しており、その過程で認識した課題や今後取り組むべき施策については、サステナビリティ担当と各サステナビリティ責任者との間で情報共有を行い、サステナビリティ推進委員会や取締役会へ報告を行っています。KPIを中心としたPDCAサイクルを回すことで、2030Visionの実現を目指します。なお、サステナビリティ課題への取組みに関する役員のインセンティブを強化するため、サステナビリティKPIの一部を業績連動型報酬の評価体系に組み込んでいます。

(3)カーボンニュートラル宣言

当社グループでは、カーボンニュートラル社会の早期の実現に向け、世界が直面している最も深刻な問題の一つである気候変動への対応の重要性・緊急性を認識し、気候変動対策への中長期的な貢献を果たすために、大和証券グループ カーボンニュートラル宣言を策定しています。

本宣言に基づき、①2030年度までの自社の温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1・2)ネットゼロ及び②2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等(Scope3)ネットゼロの達成を目指しています。また、③金融ビジネスを通じた脱炭素社会へのスムーズな移行の支援として、お客様の脱炭素化に向けた取組みや脱炭素社会実現に貢献する新技術への支援等にも引き続き取り組みます。

大和証券グループ カーボンニュートラル宣言

  1. 2030年度までの自社のGHG排出量(Scope1・2)ネットゼロ
  2. 2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等(Scope3)ネットゼロ
  3. 金融ビジネスを通じた脱炭素社会へのスムーズな移行の支援
  • 自社の範囲は、連結ベースで算出予定

主な重点方針

ファイナンスを通じた
脱炭素社会実現

  • グリーンファイナンス/トランジション・ファイナンスの促進
  • 再生可能エネルギー分野における事業投資の拡大
  • 投融資先に対するエンゲージメントの強化

脱炭素社会実現に貢献する新技術の
支援・ソリューションビジネスの推進

  • イノベーション(水素、CCUS等)の開発促進・新技術の支援
  • 再生可能エネルギー分野向けのアドバイザリー事業の拡大

脱炭素社会実現に
資する投資機会の提供

  • 関連商品・サービスのラインナップ拡充
    • -環境をテーマにした投資信託の拡充
    • -グリーンボンドをはじめとするSDGs債のアレンジ
    • -環境分野におけるSDGs-IPOの促進

自社の環境負荷低減

  • 再生可能エネルギーの導入
  • エネルギー利用効率化の継続
  • カーボンオフセットの検討

パリ協定と整合的な目標設定と
透明性のある情報開示

  • 投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量の管理手法の検討
  • SBT等を活用したパリ協定と整合的なScope3に関する中間目標の設定(2023年度中)
  • 気候変動対応に関連する適切な開示(TCFD等)

グループ推進体制の強化

  • 大和証券グループ環境・社会関連ポリシーフレームワークの運用・見直し
  • 役員報酬へのサステナビリティ要素の反映

カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ

  • 2021年8月時点