指標と目標
TCFD提言の「指標と目標」では、気候関連のリスクと機会を評価し、管理するために使用される指標と目標の開示が推奨されています。当社グループは上記の戦略とリスク管理プロセスを踏まえて、ネットゼロ社会の実現に向けた以下の指標と目標を設定・開示しています。これらの実績は、定期的にサステナビリティ推進委員会、執行役会、取締役会に報告され、モニタリングされます。
図表5-1 気候変動関連の指標と目標
項目 | 指標 | 目標 | 直近実績(2022年度) |
---|---|---|---|
自社のGHG排出量 ネットゼロ |
Scope1・2排出量 (自社の範囲は、連結ベースで 算出予定) |
ネットゼロ (2030年) |
17,104 tCO2 |
投融資ポートフォリオの GHG排出量等ネットゼロ |
Scope3排出量 | ネットゼロ (2050年) |
- |
ファイナンスを通じた 脱炭素化の推進 |
SDGs関連ビジネスへの 投資残高 |
1,500億円以上 (2023年度) |
1,305億円 |
気候関連リスク管理の 高度化 |
炭素関連資産 | - | 約3,900億円 |
自社のGHG排出量
脱炭素社会の実現に向け、GHG排出量削減が求められています。当社グループは「⼤和証券グループ カーボンニュートラル宣⾔」において2030年までの⾃社(連結ベース)のGHG排出量(Scope1・2)ネットゼロを目指しています。これらの目標達成に向け、GHG排出量を毎年モニタリングしています(図表5-2)。
今後のカーボンニュートラル実現に向けた移行計画については、「戦略 カーボンニュートラル実現に向けた移行計画」をご参照ください。
図表5-2 GHG排出量の推移
分類 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|---|
Scope1 | 944 | 868 | 842 | 954 | 840 |
Scope2 | 30,732 | 29,878 | 24,739 | 18,790 | 16,265 |
実績値の集計対象および算定方法
[国内] 法令上、エネルギー使用量・CO2排出量の報告義務のある大和証券・大和総研の2社。なお、当社グループが事務所として賃貸するグラントウキョウノースタワーおよび当社グループが保有する大和八重洲ビルからのGHG排出量のデータについては、上記2社以外のグループ会社の分も含む。2020年度より外部テナント分は対象外。
[海外] ロンドン・ニューヨーク・香港・台北・シンガポール・ソウル・ワシントンD.C.・ムンバイ・マニラの各拠点。
[算定方法]
エネルギーの使用の合理化等に関する法律および地球温暖化対策の推進に関する法律に定める算定方法に従い、電力・都市ガス・重油・軽油・灯油・蒸気・冷水の使用により生じるCO2を対象として算定。小数点以下は四捨五入。
投融資ポートフォリオのGHG排出量等
金融機関にとって投融資ポートフォリオのGHG排出量(Financed Emissions)は大きな割合を占めるとされており、その削減は重要な課題の一つです。当社グループは、「⼤和証券グループ カーボンニュートラル宣⾔」において2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等(Scope3)ネットゼロを目指しています。
当社グループでは、「戦略」で記載の通り、PCAFが定める「The Global GHG Accounting & Reporting Standard Part A (Second edition, December 2022)」に基づき、投融資ポートフォリオ排出量の計測を試験的に行っています。この計測結果に基づき、2023年度中に中間目標を設定・公表します。
詳細は、「戦略 カーボンニュートラル実現に向けた移行計画」、「投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測アプローチ」をご参照ください。
SDGs関連ビジネスへの投資残高
当社グループは「戦略」でも示した通り、脱炭素社会への移行に貢献する新産業・企業への投資を事業機会と捉え、取組みを進めています。これを踏まえ、SDGs関連ビジネスへの投資残高の目標を設定しています(図表5-1)。
なお、SDGs関連ビジネスの状況については、SDGs債リーグテーブルに関する目標(3位以内)についても別途設定し、上記と併せてモニタリングしています。
これらのKPIについては、役員報酬に反映されます。
炭素関連資産
脱炭素社会への移行に伴い、GHG排出量の大きい炭素関連資産は将来その価値が大きく低下するリスクがあり、また保有を続けることでレピュテーショナルリスクが生じる可能性があります。脆弱な資産の指標として、TCFD提言の補足ガイダンスの炭素関連資産の定義を踏まえ、炭素関連資産の状況を開示しています。2022年度末時点での総額は約3,900億円となります(図表5-3、5-4)。
当社グループは「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」を公表し、ネットゼロに向けた取組みを進めているところであり、炭素関連資産のリスク程度を精査した上で、特に高リスクの炭素関連資産について中長期的な削減に向けた取組みを進めていくことを検討する予定です。
図表5-3 炭素関連資産の総額
指標 | 炭素関連資産※ |
---|---|
実績 | 約3,900億円 |
- ※CLO(ローン担保証券)、投資・出資、LMS(証券担保ローン)の合計。対象業種は、東証33業種におけるエネルギー、運輸、素材・建築、農業・食品・林業の22業種。
図表5-4 炭素関連資産の内訳
  | 投資・出資 | 大和ネクスト銀行 CLO |
大和証券 LMS |
合計 |
---|---|---|---|---|
エネルギー | 11% | 6% | 0% | 17% |
運輸 | 2% | 7% | 2% | 12% |
素材・建築 | 26% | 30% | 6% | 62% |
農業・食品・林業 | 0% | 8% | 0% | 9% |
合計 | 40% | 52% | 8% | 100% |
- (注)構成比は小数点以下第1位を四捨五入しているため、個々の値の合計値は必ずしも合計と一致しない場合がある。