5.指標及び目標
(1)指標及び目標
当社グループは、気候関連リスク及び機会に関連する企業のパフォーマンスとして、指標及び目標を設定・開示しています。
2024年度には、中期経営計画~“Passion for the Best” 2026~における新たなサステナビリティKPIを公表しました。
気候関連の指標及び目標
指標(グループKPI) | 対象 | 目標 |
---|---|---|
SDGs関連債リーグテーブル | グローバル・ インベストメント・ バンキング本部 |
2位以内 (2026年度) |
自社のGHG排出量※ | 連結 | ネットゼロ (2030年度) |
投融資ポートフォリオの GHG排出量※ |
連結 | 186~255 g-CO2/kWh (2030年度) |
- ※自社のGHG排出量はScope1+Scope2の合計。投融資ポートフォリオのGHG排出量の対象は、電力セクターへのプロジェクトファイナンス。一部推定値を含む
指標(その他のサステナビリティKPI) |
---|
GX移行債のプライマリー・ディーラー落札ランキング |
ESG投融資残高 |
サステナビリティ関連投資残高 |
グリーンビルディング認証比率 |
再エネ切替率(オフィス・データセンター) |
炭素関連資産残高 |
(2)GHG排出量(Scope1・2・3)
当社グループは「カーボンニュートラル宣言」において2030年度までの⾃社のGHG排出量(Scope1・2)ネットゼロを目指しています。これらの目標達成に向け、GHG排出量を毎年モニタリングしています。
なお、実績値の集計対象範囲及び算定方法については「Appendix 1.GHG排出量の集計対象及び算定方法」をご参照ください。
GHG排出量の実績(2023年度)
(単位:t-CO2)
分類 | 2023年度※ | |
---|---|---|
Scope1 | 926 | |
Scope2 | マーケット基準 | 8,632 |
ロケーション基準 | 25,718 |
分類 | 2023年度※ | |
---|---|---|
Scope3 | カテゴリ6 出張 | 957 |
カテゴリ7 通勤 | 1,848 | |
カテゴリ8 リース車両 | 1,537 |
- ※第三者保証については2024年8月に取得予定(Scope2 ロケーション基準を除く)
投融資ポートフォリオのGHG排出量
2023年度は、「カーボンニュートラル宣言」にて掲げる「2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等(Scope3)ネットゼロ」に向けた具体的な道筋を明確化するため、執行役会及び取締役会での決議を経て、当社グループの投融資ポートフォリオの排出量において現時点で最も大きな割合を占める電力セクターのプロジェクトファイナンスに関する2030年度の中間目標の設定を行いました。
■ 2022年度実績値の計測
2022年度のGHG排出量については、高排出セクターを中心に、下記10セクター及びPCAFにて算定対象となっているアセットクラスを対象として計測を実施しました。
計測範囲
セクター:
電力(発電)、運輸、不動産、自動車製造、石炭、石油・ガス、鉄鋼、セメント、農業、アルミニウム
アセットクラス:
上場株式、非上場株式、社債、商業用不動産、コーポレートローン、プロジェクトファイナンス
- ※対象は、大和証券グループ本社の出資先・アセットマネジメント部門の運用先(自己保有分。ファンド経由の非上場株式除く)・大和ネクスト銀行の運用先におけるScope1・2
- ※商業用不動産・コーポレートローンは該当無し。また、その他のアセットクラスにおいて、対象が無い場合はハイフンを、端数処理で切り捨てとなる場合は0を表示
- ※一部、PCAFのデータベースに基づく推計値を使用(但し、同データベースにおいても参照できない対象は除外)
2022年度実績値
(単位:t-CO2)
上場株式 (REIT含む) |
非上場株式 (REIT含む) |
社債 | プロジェクト ファイナンス |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|
電力(発電) | 33,113 | 0 | 28,420 | 409,667 | 471,200 |
運輸 | 28,629 | 0 | 0 | - | 28,629 |
不動産 | 12,400 | 5,539 | 0 | - | 17,939 |
自動車製造 | 701 | - | 1,925 | - | 2,626 |
石炭 | 67 | - | - | - | 67 |
石油・ガス | 61 | - | 0 | - | 62 |
鉄鋼 | 4 | - | 0 | - | 4 |
セメント | 1 | - | - | - | 1 |
農業 | 1 | - | 0 | - | 1 |
アルミニウム | 0 | - | - | - | 0 |
合計 | 74,978 | 5,539 | 30,344 | 409,667 | 520,529 |
■ 中間目標の設定、今後の取組み
今回はまず、当社グループの投融資ポートフォリオの排出量において現時点で最も大きな割合を占める電力セクターのプロジェクトファイナンスに関する2030年度の中間目標を設定しました。
増加する電力需要を支えつつ、クリーンエネルギー化を同時に進めていく必要があるため、GHGの排出効率を示す排出原単位(発電量当たりの排出量)を計測指標とします。また、目標についてはパリ協定の目標である、2℃目標を十分に下回り、1.5℃目標と整合的である水準として、IEAのNZEシナリオ、APSシナリオに基づき、レンジでの削減目標を設定しています。
今後は2030年度の中間目標及び2050年のネットゼロ達成に向けて、投融資先とのエンゲージメントの強化や、再エネ向けファイナンスを実施します。目標設定における考え方や目標達成に向けた取組みの詳細は、投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量のネットゼロに向けた対応をご参照ください。
電力セクターのプロジェクトファイナンスに関するGHG排出量(対象はScope1)
2022年度実績値※ | |
---|---|
総排出量 | 409,667 t-CO2 |
排出原単位(g-CO2/kWh) | 379 g-CO2/kWh |
PCAFスコア | 平均PCAFスコア 2.73 |
2030年度中間目標値 | |
---|---|
指標 | 排出原単位(g-CO2/kWh) |
目標値 | 186~255 g-CO2/kWh |
参照シナリオ | IEA NZE・APS |
- ※一部推計値を含む
(3)炭素関連資産
脱炭素社会への移行に伴い、GHG排出量の大きい炭素関連資産は将来その価値が大きく低下するリスクがあり、また保有を続けることでレピュテーショナルリスクが生じる可能性があります。
また、気候関連リスクに関するシナリオ分析の結果によると、中長期的には自社の炭素関連資産に対して相応の財務的影響が生じる可能性があります。そのため、気候関連リスク(移行リスク)に対して脆弱な資産の指標として、TCFD提言の補足ガイダンスの炭素関連資産の定義を踏まえ、炭素関連資産の状況を開示しています。
今回の計測では、投資・出資において、当社グループの連結子会社の対象範囲を拡大し、2023年度末時点での総額は約5,600億円となりました。
当社グループは、炭素関連資産のリスク程度を精査した上で、特に高リスクの炭素関連資産について中長期的な削減に向けた取組みを進めていくことを検討する予定です。
炭素関連資産の内訳
項目 | 投資・出資 | 大和ネクスト銀行 CLO |
大和証券 自社株担保融資 |
合計 |
---|---|---|---|---|
エネルギー | 9% | 4% | 0% | 14% |
運輸 | 1% | 6% | 1% | 8% |
素材・建築 | 50% | 21% | 1% | 72% |
農業・食品・林業 | 0% | 5% | 0% | 6% |
合計 | 61% | 37% | 2% | 100% |
- ※1集計対象:投資・出資、大和ネクスト銀行CLO、大和証券自社株担保融資
- ※2エネルギーから水道、独立発電、再生可能エネルギー事業者は除外
(4)役員報酬
取締役及び執行役の報酬は、報酬委員会において決定しており、基本報酬、株価連動型報酬、業績連動型報酬で構成されています。
業績連動型報酬の算定においては、中期経営計画~“Passion for the Best” 2026~において数値目標として掲げる各KPIを参照しています。気候関連のKPIとしては、SDGs関連債リーグテーブルとGHG排出量が含まれています。
業績連動型報酬を算定するための業績評価は、財務情報を用いた業績KPIに基づく財務業績評価に、業績KPI以外のKPIを総合的に評価したクオリティ評価を反映します。財務業績評価及びクオリティ評価は、報酬委員会にて決定しています。
業績連動型報酬は、役職ごとに定めた基準額に業績評価を掛け合わせ、個人の貢献度合いを反映のうえ算定します。なお、業績評価は、全ての役職において同一の算定式を適用しています。
業績連動型報酬の評価体系
- ※1自社の温室効果ガス排出量はScope1+Scope2の合計。投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量の対象は、電力セクターへのプロジェクトファイナンス。
一部推定値を含む - ※2基準値は、中期経営計画の目標値を踏まえて報酬委員会にて決定しています。
各報酬の支給割合
- ※上記の数値は、中期経営計画の業績KPIの目標達成時における割合です。