3. ガバナンス

(1)監督体制

気候変動を含むサステナビリティに関する戦略及び方針については、取締役会が監督しています。取締役会は、サステナビリティ推進委員会で議論又は執行役会等で審議したサステナビリティに関する戦略及び方針について、取締役会規則に則り必要に応じて報告を受けるとともに、同規則において決議事項として定められた、経営の中核となる事項や取締役会が重要と認めた事項について決定しています。

サステナビリティに関する基本方針を含む2030Visionに関しては中期経営計画とあわせて取締役会で決定しています。その他、これまでに、例えば環境・社会関連ポリシーフレームワークカーボンニュートラル宣言について決定しています。また、リスクアペタイト・ステートメントにおいて、2021年度より気候変動リスクを明記し、シナリオ分析に基づく損失額の試算結果も踏まえ、適切に特定・評価し効果的に管理しています。

2023年度の取締役会で決定された中期経営計画“Passion for the Best”2026(2030Visionの改定を含む)では、気候変動を含むサステナビリティもトピックとして取り上げられました。同計画で定められたサステナビリティKPIに関しては、その後の取締役会で、決算の承認や中期経営計画のレビューの際に確認等を行っています。その他に、2024年度の取締役会では、気候関連開示内容の報告、環境・社会関連ポリシーフレームワークの改定、サステナビリティ推進の現状報告、IR報告における機関投資家向けサステナビリティミーティングの報告の計4回、議題として取り上げています。

また、気候変動を含むサステナビリティの取組みに関する役員のインセンティブを強化するため、サステナビリティKPIを業績連動型報酬の評価体系に組込んでいます。気候関連のKPIとしては、SDGs関連債リーグテーブル・GHG排出量が含まれています。役員報酬の詳細は、「6.指標及び目標(4)役員報酬」をご参照ください。

  • 2024年10月に、機関投資家及びセルサイドアナリストを対象に、当社グループのサステナビリティ担当役員・社外取締役・人事担当役員・CFOによるサステナビリティミーティングを開催。サステナビリティに関するグループの方針及びKPI進捗の他、情報開示やガバナンス、人的資本に関する取組みについて発信

気候変動に対するガバナンス体制

社外取締役からの主なコメント

気候関連開示

  • 開示基準とギャップがある項目について、他社の対応と比較しながら今後の方向性を具体的に考える必要がある

環境・社会関連ポリシーフレームワーク

  • 投融資先のサプライチェーンも含めて、どの程度客観的かつ詳細にデュー・デリジェンスを実施できるかが課題である

各会議体の役割と主な審議内容

会議体 構成 気候関連の役割 主な審議内容(2024年度以前を含む)
監督 取締役会 議長:取締役会長
社外取締役:7名
社内取締役:7名
  • 気候関連の課題と対応について
    執行側から適宜報告を受け監督
  • 2030Visionの策定・アップデート
  • カーボンニュートラル宣言の策定
  • 気候関連開示対応
  • 環境・社会関連ポリシーフレームワークの改定
  • サステナビリティ推進に関する現状報告(ESG評価を含む)
  • リスクアペタイトフレームワークやトップリスク事項
  • 機関投資家とのESG面談に関する報告
  • 投融資ポートフォリオ排出量削減に向けた中間目標
  • 中期経営計画におけるサステナビリティKPIの決定と進捗確認
  • サステナビリティミーティングの開催
指名委員会 議長:社外取締役
社外取締役:5名
社内取締役:2名
  • 取締役の選任及び解任議案の決定
  • 取締役のスキルマトリックスへのサステナビリティ項目の追加
監査委員会 議長:社外取締役
社外取締役:4名
社内取締役:1名
  • 取締役及び執行役の職務執行の監査
  • 気候関連リスクの管理状況(シナリオに基づく定量分析結果)
報酬委員会 議長:社外取締役
社外取締役:5名
社内取締役:2名
  • 役員報酬に関する方針等の検討
  • サステナビリティKPIに連動した役員報酬制度の決定
執行 執行役会 議長:代表執行役社長CEO
  • 気候課題に関連した重要な業務や
    方針に関する事項の審議
  • 取締役会への報告
  • 2030Visionの策定・アップデート
  • カーボンニュートラル宣言の策定
  • 気候関連開示対応
  • 環境・社会関連ポリシーフレームワークの改定
  • リスクアペタイトフレームワークやトップリスク事項
グループリスク
マネジメント会議
議長:代表執行役社長CEO
  • 気候変動リスク対応に関するモニタリング
  • 執行役会への報告
  • 気候関連リスクの管理状況(シナリオに基づく定量分析結果)
サステナビリティ
推進委員会
委員長:代表執行役社長CEO
社内委員:16名
社外委員:3名
  • 気候変動に関する重要事項の議論
  • 執行役会への報告
  • 2030Visionの策定・アップデート
  • 環境・社会関連ポリシーフレームワークの改定
  • ESG評価対応
  • 投融資ポートフォリオ排出量削減に向けた中間目標と進捗
  • 気候関連開示対応

取締役のスキルマトリックス

取締役会には、サステナビリティに深い知見を有する社内外取締役が在籍しており、サステナビリティ課題への取組みに対し実効性の高い監督を行うことができる体制となっています。さらに、取締役の知見・経験を多面的に評価できるよう、指名委員会で審議した上で、スキルマトリックスを策定しています。「サステナビリティ」の判断基準としては、サステナビリティ関連業務経験(当社グループのサステナビリティ戦略を推進する職務経験を含む)の有無を考慮しています。

氏名 担当 在任年数 専門性と経験
企業経営 財務会計 法務・
コンプライアンス
DX・
情報通信
グローバル サステナビリティ
中田 誠司 指名委員 報酬委員 10年 当社グループの経営管理を適切に
実行する知識・経験を有しております
荻野 明彦 指名委員 報酬委員 5年
新妻 信介 1年
田代 桂子 11年
佐藤 英二 1年
櫻井 裕子 -
花岡 幸子 監査委員 6年
河合 江理子 社外
独立
指名委員 報酬委員 7年
西川 克行 社外
独立
指名委員 監査委員 6年
岩本 敏男 社外
独立
指名委員 報酬委員 5年
村上 由美子 社外
独立
監査委員 報酬委員 4年
伊岐 典子 社外
独立
指名委員 監査委員 2年
柚木 真美 社外
独立
監査委員 報酬委員 1年
市川 晃 社外
独立
指名委員 報酬委員 -
  • 社外社外取締役
  • 独立証券取引所の定めに基づく独立役員

(2)執行体制

① サステナビリティ推進委員会

気候変動を含むサステナビリティに関する戦略及び方針について、代表執行役社長CEOを委員長とするサステナビリティ推進委員会にて定期的に議論を行っています。

これまでに、例えば環境・社会関連ポリシーフレームワークカーボンニュートラル宣言の策定・改定等について議論を行っています。

同委員会には、取締役会で承認された執行役規程に基づきサステナビリティ推進を統括するサステナビリティ担当や、複数の社内取締役を含む役員、さらにサステナビリティの主要テーマに専門的知見を有する社外委員3名が参加しています。同委員会での議論内容については、適宜、執行役会に報告され審議・決定を行います。

社外委員のサステナビリティ関連の主な専門分野

委員 所属・肩書 主な専門分野
有村 俊秀
  • 早稲田大学 政治経済学術院 教授
  • 経済産業研究所ファカルティフェロー
  • 環境経済学
  • エネルギー政策
  • カーボンプライシング(CP)
岸上 有沙
  • En-CycleS(持続可能な対話の輪)独立コンサルタント
  • 日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)理事
  • サステナブル投資
  • 企業との対話(エンゲージメント)
高橋 大祐
  • 真和総合法律事務所パートナー弁護士
  • ビジネスと人権
  • 環境法務
  • グローバルコンプライアンス

社外委員からの主なコメント

気候関連開示
  • ISSB基準やSSBJ基準を導入する上での課題点を透明性ある形で国内に共有することで、全体の底上げにも貢献してほしい
  • スキルマトリックスについて、●がついた場合に具体的にどのようなスキルが有るかどうかが分かると、開示の信頼性が増す
  • 開示自体を目的にするのではなく、リスクへの対応・機会の実現が重要。想定されるリスク・機会に加えて、取組みや関連するKPIも併せて、具体的に記載するとよい
環境・社会関連ポリシーフレームワークの改定
  • 人権・環境に関するデュー・デリジェンスは今後も世界的に広がっていくことが予想される
  • 投融資先とのエンゲージメントを通じてリスクを察知することが重要である。一方、企業が現実的に行うことができる具体的な対応を検討すべき。例えば、国や地域、業種をベースに効率的に情報を収集・評価したり、協働エンゲージメントによって特定業種に働きかけたりすることが考えられる

② グループリスクマネジメント会議

気候変動を含むリスク管理に係る方針や施策については、執行役会の分科会であり、代表執行役社長CEOを議長とし、リスク管理の責任者である最高リスク管理責任者(CRO:Chief Risk Officer)が出席するグループリスクマネジメント会議において議論しています。

気候関連シナリオに基づく定量分析結果等については、毎年、同会議への報告が行われた後、サステナビリティ推進委員会での議論を経て、執行役会に報告されています。

③ グループ横断的ワーキンググループ

グループ横断的にサステナビリティを推進する体制として、大和証券各本部・主要なグループ会社においてサステナビリティ責任者を設け、かかる責任者のもとで、サステナビリティKPIのモニタリングやサステナビリティ関連ビジネスの推進を行うワーキンググループ(WG)を設置しています。同WGで議論された内容については、適宜、サステナビリティ推進委員会に報告する体制となっています。

グループ横断的ワーキンググループ

名称 概要
サステナビリティ担当 当社グループ全体のサステナビリティ関連ビジネスの推進及びサステナブル経営の基盤強化への取組みを統括
サステナビリティ責任者 当社グループ内の各組織(各本部・グループ会社)において、サステナビリティ関連ビジネスの推進及びKPIの進捗管理を実施
サステナブルビジネスWG サステナビリティ責任者のもとで、KPIのモニタリング、サステナビリティ関連ビジネスの進捗状況の把握、課題の洗い出し及びそれらの課題に対する施策を企画・実施
ESG対応WG 当社グループのESGに関する外部評価(投資家及び評価機関)を参考に、ESG対応を拡充・強化
Sustainability Advisory Group サステナビリティに精通した社内有識者が集まり、当社グループの課題や今後の対応を提言
サステナビリティ開示WG 部署横断の組織として、統合報告の観点からサステナビリティ情報開示の拡充を目指す
Scope3排出量モニタリングチーム 投融資ポートフォリオ等に係る排出量の計測及び目標設定を実施