ガバナンス
TCFD提言の「ガバナンス」では、気候関連のリスクと機会に関する取締役会の監督および経営者の役割についての開示が推奨されており、当社グループはこれに沿った情報開示を進めています。
気候変動に対するガバナンスの全体像
当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティに関連した業務やグループ方針についてはサステナビリティ推進委員会において、気候関連のリスクの分析については執行役会の分科会であるグループリスクマネジメント会議において、定期的に議論を行っています。議論の内容は、適宜、執行役会に報告され、そこで審議・決定を行います。 執行側で審議した気候関連の課題と対応について、必要に応じて、取締役会で報告を受けるとともに、取締役会規則において決議事項として定められた、経営の中核となる事項や取締役会が重要と認めた事項については、取締役会で決議します。 このように、気候変動を含むサステナビリティ課題への対応は、執行での審議・決定を経て、取締役会において監督する体制としています(図表2-1、2-2)。
図表2-1 気候変動に対するガバナンス体制(2023年4月1日時点)
図表2-2 各会議体の役割と主な審議内容
会議体 | 構成 | 気候変動関連の役割 | 主な協議・審議内容 | |
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監督 | 取締役会 | 議長:取締役会長 社外取締役 7名 社内取締役 7名 |
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報酬委員会 | 議長:社外取締役 社外取締役 5名 社内取締役 2名 |
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執行 | 執行役会 | 議長:代表執行役社長CEO |
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グループリスク マネジメント会議 |
議長:代表執行役社長CEO |
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サステナビリティ 推進委員会 |
委員長:代表執行役社長CEO 社内委員 (サステナビリティ担当含む) 社外委員 (社外有識者) |
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監督体制
取締役会
取締役会には、サステナビリティに深い知見を有する社内外取締役が在籍しており、サステナビリティ課題への取組みに対し実効性の高い監督を行うことができる体制となっています。これまでに、例えば「2030Vision」、「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」や「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」について決議した他、リスクアペタイト・ステートメントのトップリスクに、気候変動を追加する決定を行いました。そのほか、TCFD提言に沿った情報開示(気候変動シナリオを含む)、外部機関のESG評価向上に向けた非財務情報開示等について報告を受け議論し、また決算や「中期経営計画のレビュー」の決議の際のサステナビリティKPI(図表2-6)の進捗状況等の確認等を行っています(図表2-2)。
報酬委員会
三委員会の一つである報酬委員会は、役員報酬に関する方針等につき審議を行います。例えば、2021年度には、サステナビリティKPIを役員の業績連動報酬の評価体系に組込むことを決議しました(図表2-2、2-6)。
図表2-3 取締役会における三委員会の委員構成と出席状況(2022年度実績)
指名委員会 | 監査委員会 | 報酬委員会 | ||
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日比野 隆司 | 取締役会長 兼 執行役 | 5/5回 | 4/4回 | |
中田 誠司 | 取締役 兼 代表執行役社長 | 5/5回 | 4/4回 | |
花岡 幸子 | 社内取締役 | 13/13回 | ||
川島 博政 | 社内取締役 | 13/13回 | ||
小笠原 倫明 | 社外取締役 | 5/5回 | 13/13回 | |
竹内 弘高 | 社外取締役 | 5/5回 | 4/4回 | |
西川 郁生 | 社外取締役 | 13/13回 | 4/4回 | |
河合 江理子 | 社外取締役 | 5/5回 | 13/13回 | |
西川 克行 | 社外取締役 | 5/5回 | 13/13回 | |
岩本 敏男 | 社外取締役 | 5/5回 | 4/4回 | |
村上 由美子 | 社外取締役 | 13/13回 | 4/4回 |
執行体制
サステナビリティ推進委員会
サステナビリティ推進委員会は、代表執行役社長CEOを委員長とし、定期的(2022年度は年4 回開催)に議論を行っています。同委員会には、サステナビリティ推進を統括するサステナビリティ担当執行役(2020年度設置)、複数の社内取締役(うち非業務執行取締役1名)を含む役員、さらに気候変動を含むサステナビリティの主要テーマに専門的知見を有する社外委員3名(図表2-4)が参加しています。同委員会ではこれまでに、例えば「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」の策定・改定や「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」の策定等について検討・助言を行っています(図表2-2)。
図表2-4 社外委員による気候関連の専門的知識および経験
氏名 | 所属・肩書 | 気候関連の主な専門分野 |
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有村 俊秀 | 早稲田大学 政治経済学術院 教授 経済産業研究所ファカルティフェロー |
環境経済学 エネルギー政策 カーボンプライシング(CP) |
岸上 有沙 | En-CycleS(持続可能な対話の輪)独立コンサルタント 日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)理事 |
サステナブル投資 サステナブル投資インデックス/ESGレーティング開発 企業との対話(エンゲージメント) |
高橋 大祐 | 真和総合法律事務所パートナー弁護士 | ビジネスと人権 環境法務 グローバルコンプライアンス |
グループリスクマネジメント会議
気候変動を含むリスク管理に係る方針や施策については、執行役会の分科会であり、リスク管理の責任者である最高リスク管理責任者(CRO:Chief Risk Officer)の執行役が出席するグループリスクマネジメント会議において議論しています。同会議では、気候関連シナリオに基づく定量分析結果などについて毎年報告しています。また、報告内容は、TCFD提言に沿った情報開示案の一部として、サステナビリティ推進委員会でも議論しています。
当社グループ横断的ワーキンググループ
当社グループ横断的にサステナビリティを推進する体制として、大和証券各本部・主要なグループ会社においてサステナビリティ責任者を設置しており、サステナビリティに資するビジネスの推進やサステナビリティKPIの進捗管理を行っています。また、それらの内容は、サステナビリティ推進委員会や執行役会に定期的に報告される体制となっています。これに加えて横断的なワーキンググループ(WG)を複数立ち上げています(図表2-5)。当該WGで議論された内容については、適宜、サステナビリティ推進委員会での議題として取り上げるなど、連携する体制となっています。
図表2-5 気候変動リスクに係る主なワーキンググループの概要
名称 | 概要 |
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ESG対応WG | 当社グループのESGに関する外部評価(投資家および評価機関)を参考に、ESG対応を拡充・強化。主な構成メンバーは、本社部門における実務担当者 |
サステナブルビジネスWG | サステナビリティ責任者のもとで、KPIのモニタリング、SDGs/ESG関連ビジネスの進捗状況の把握、課題の洗い出しおよびそれらの課題に対する施策を企画・実施。主な構成メンバーは、各本部・グループ会社・海外主要拠点における実務担当者 |
Sustainability Advisory Group (社内有識者WG) |
サステナビリティに精通した社内有識者が集まり、当社グループの課題や今後の対応に関する意見交換を実施。主な構成メンバーは、各本部・グループ会社におけるサステナビリティ分野の実務者 |
サステナビリティ開示WG | 部署横断の組織として、統合報告の観点からサステナビリティ情報開示の拡充を目指す。主な構成メンバーは、サステナビリティ開示の関係部署における実務担当者 |
Scope3排出量 モニタリングチーム |
投融資ポートフォリオに係る排出量の計測および目標の設定を実施。主な構成メンバーは、アセット・マネジメント部門、投資部門、シンクタンク、その他(銀行)を含む実務担当者 |
役員報酬制度
当社は、役員の気候関連の課題への取組みに関するインセンティブを強化するため、2022年度よりサステナビリティKPIを業績に応じて金銭で支給する業績連動報酬の評価体系に組込んでいます(2021年度の報酬委員会で決議、図表2-6)。特に気候関連のKPIとしては、SDGs関連ビジネスへの投資残高やSDGs債リーグテーブルが含まれています(「指標と目標」参照)。
図表2-6 業績連動報酬の評価体系(2023年3月末時点)
- (注)
- 1基準値は、中期経営計画の目標値を踏まえて報酬委員会にて決定しています。
- 2連結総自己資本規制比率は、2022年12月末時点における数値を記載しております。