サステナビリティマネジメント

サステナビリティ担当役員メッセージ

株式会社大和証券グループ本社 取締役 兼 執行役副社長 サステナビリティ担当 兼 金融経済教育担当 兼 証券アセットマネジメント担当 兼 シンクタンク担当 田代桂子

株式会社大和証券グループ本社
取締役 兼 執行役副社長
サステナビリティ担当
兼 金融経済教育担当
兼 証券アセットマネジメント担当
兼 シンクタンク担当
田代桂子

企業価値向上に向けて

今般の感染症の影響や地政学リスクを目の当たりにし、経済的なリターンのみならず、環境・社会へのネガティブインパクトの最小化とポジティブインパクトの最大化を目指す、サステナビリティを起点とした事業展開が当たり前の世界となりました。脱炭素社会への移行に向けた資金調達手段として注目されるトランジション・ファイナンスに象徴されるように、課題解決のための資金調達のサポートは、私たち総合証券グループの重要なミッションの一つです。

企業がビジネスを通じたサステナビリティへの貢献を一過性のムーブメントに留めず、自社のレジリエンスを高める施策として中長期的な戦略に据えるためには、サステナブルファイナンスの進展が鍵となります。「2030Vision」のもと、グループ全体でサステナブルファイナンスの推進体制を強化するとともに、投資家・発行体双方にその意義をご理解いただけるようエンゲージメントを行いながら、ポジティブなアウトカムをもたらす企業の価値向上を支援してまいります。

企業には社会課題解決の推進力としての役割が期待されています。その期待に応えられるよう、サステナブルな社会の実現に向けた新たな資金循環の仕組みづくりに、社員一丸となって取り組んでまいります。

大和証券グループの経営ビジョン「2030Vision」

「2030Vision」 ~貯蓄からSDGsへ~

大和証券グループはこの度、SDGs の達成期限でもある2030年に向けて、「企業理念」「大和スピリット」に基づく当社グループの目指すべき姿を「2030Vision」として策定しました。
「2030Vision」では、「貯蓄からSDGs へ」をコアコンセプトに、”資金循環の仕組みづくりを通じたSDGsの実現”に取り組んでいきます。

大和証券グループのSDGsマテリアリティ ⼈⽣100年時代を誰もが豊かに過ごせる社会の実現に向け、⾦融のプロフェッショナルとして、多様化するお客様のニーズに合わせたソリューションの提供に取り組んでいきます。 ⾦融機能を通じた社会を豊かにするイノベーションの促進に取り組むとともに、お客様へ新たな付加価値の提供に取り組んでいきます。また、ハイブリッド戦略の加速化・⾼度化を通じた⾃らの変⾰の実現を⽬指します。 脱炭素社会への移⾏の促進とレジリエントな社会の実現に向け、社会課題の解決に資する⾦融商品・サービスの提供に注⼒していきます。また、再⽣可能エネルギー分野におけるアドバイザリー業務や事業投資に積極的に取り組んでいきます。 多様な個性を認め合い、誰もが活躍できる社会の実現に向けて貢献していきます。加えて、ひとりひとりの社員が個性を発揮し、働きがいを感じられる組織の構築に引き続き注⼒します。 重点分野「⼈⽣100年時代」、「イノベーション」、「グリーン&ソーシャル」、「ダイバーシティ&インクルージョン」の実現に向けて、サステナブルな企業経営を⽀える基盤を強化し、中⻑期的な企業価値の向上に取り組んでいきます。

マテリアリティ

「2030Vision」 におけるマテリアリティ

「2030Vision」において、⼤和証券グループが特に注⼒すべき重点分野および重点課題を、「マテリアリティ」として特定しました。

重点分野 重点課題
人生100年時代
人生100年時代を誰もが
豊かに過ごせる社会の実現
  1. 1.豊かな人生100年時代の実現に向けた家計の資産形成・保全のサポート
  2. 2.民間資金による地方活性化の実現
  3. 3.アジア地域の経済成長を金融面から支援
イノベーション
社会を豊かにするイノベーションの
促進と自らの変革の実現
  1. 4.社会を豊かにするイノベーションの実現に向けた企業の新陳代謝の加速支援
  2. 5.新たな付加価値創出に向けた事業ポートフォリオの変革
  3. 6.唯一無二の金融プラットフォーマーとして社会の変革をリード
グリーン&ソーシャル
脱炭素社会への移行の促進と
レジリエントな社会の実現
  1. 7.脱炭素社会の実現を支援するグリーンファイナンス/
    トランジション・ファイナンスの促進
  2. 8.持続可能な社会の実現に資する新たな金融商品・サービスの開発・提供
サステナブル経営の基盤
ダイバーシティ&インクルージョン
多様な個性を認め合い、
誰もが活躍できる社会の実現
サステナブルな企業経営を支える
基盤の強化
  1. 9.付加価値を提供できる人材の育成
  2. 10.多様な個性を認め合い、誰もが活躍できる組織の構築
  1. 11.健全で透明性の高い経営基盤の強化
  2. 12.金融・資本市場の維持発展をリード
  3. 13.次世代につなぐ美しい地球環境の創造
  4. 14.より良い未来のコミュニティ・社会の実現

⼤和証券グループ数値目標(KPI)

「中期経営計画“Passion for the Best” 2023」を、「2030Vision」の達成に向けた最初の3年間の戦略と位置づけ、その中ではビジョン実現の進捗を管理するためのKPIを設定しています。

KPIおよび各KPIに関連する重点分野(2023年度達成目標)

財務KPI
業績

ROE
10%以上

経常利益
2,000億円以上

資産管理型ビジネス

リテール部門
残高ベース収益比率

50%以上※1

ハイブリッド戦略

ハイブリッド関連
経常利益

500億円以上

ハイブリッド関連
経常利益比率

25%程度

財務基盤

連結総自己資本規制比率
18%以上維持

非財務KPI
人材

デジタルIT人材
200名以上

CFP・証券アナリスト
資格取得者数

3,000名以上

資産管理型ビジネス

大和証券預り資産
90兆円以上

サステナビリティ

SDGs債リーグテーブル

3位以内

応援定期預金残高

2,000億円以上

SDGs関連ビジネス投資残高

1,500億円以上

女性取締役比率

30%以上※2

女性管理職比率

25%以上※3

従業員満足度

80%以上維持

  1. ※12023年度第4四半期
  2. ※22030年までに
  3. ※32025年度

マテリアリティの特定プロセス

大和証券グループは、経営ビジョンの策定にあたり、当社グループにとって中長期的に重要な社会課題を抽出し、ステークホルダーとのコミュニケーションや、社会からの要請および当社グループが社会に与えるインパクトを踏まえ、「マテリアリティ(重点分野・重点課題)」を特定しました。
サステナブルな社会と当社グループの価値向上を実現するため、KPIにより取組みの進捗を管理し、「2030Vision」の実現を目指します。

特定プロセス

これまで
経営戦略の根底にサステナビリティの観点を取り入れる
2018年、執行役社長 中田誠司を委員長とした『サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)』を設置し、当社グループビジネスを通じ、積極的にSDGsに資する取組みを推進していくことを、「Passion for SDGs ~大和証券グループ SDGs宣言~」として明文化。
STEP1
社会課題の把握・整理
当社グループの企業理念をベースに、各種国際的なフレームワーク(GRI、ISO26000、SASB、TCFD等)、国連グローバル・コンパクト等国際的な取組み、ESG評価機関の指標、政府や経済団体で認識される課題などを勘案し、当社グループにとって機会・リスクとなりうる重要な社会課題をピックアップ。経営基盤の強化として取り組む項目については、65項目のロングリストを作成。
STEP2
社内外ステークホルダーとの対話
ピックアップした項目について、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションを通じて当社が社会に与えるインパクトおよび重要性を評価。
評価にあたり、サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)の社外委員やグループ内有識者へ、当社グループが中長期的に注力すべき重点課題や方向性についてヒアリングを実施。また、各本部・グループ各社のサステナビリティ推進における責任者や2030年に中核を担う若手社員と、当社グループが2030年に「目指すべき姿」について対話を実施。
STEP3
マテリアリティ(案)の策定
重要性の評価結果をもとに、ビジネスを通じて取り組むべき10項目、経営基盤の強化として取り組むべき4項目を抽出。
策定したマテリアリティ(案)に対する、当社グループにとっての機会・リスクを検討。
STEP4
経営陣による議論・決定
取締役会、執行役会およびサステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)等で、社外取締役、サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)の社外委員、経営陣による議論を実施。
取締役会において、マテリアリティを含む2030Visionを決議。あわせて、その取組みの進捗を管理するKPIを設定。
今後も国際的な社会課題の動向や、事業環境の変化、および社内外のステークホルダーの意見を取り入れながら、継続的な見直しを実施。
これから
マテリアリティに取り組み、「2030Vision」を実現
各本部・グループ各社の責任者による進捗管理と、課題の把握、およびそれに対する施策を実施。
サステナビリティ推進委員会や取締役会等の会議体にて、定期的に経営陣が進捗状況をモニタリング。

クリックで対話の様子を表示します

サステナビリティ推進体制

大和証券グループでは、サステナビリティ推進に関するグループ方針について議論する場として、2018年より代表執行役社長CEOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)」を設置しています。

サステナビリティの取組みについてサステナビリティ推進委員会で議論し、その内容を取締役会や執行役会へ適宜報告するとともに、必要に応じて審議することとしています。また、サステナビリティに関する重要な方針については取締役会で決議しています。サステナビリティに関する課題への取組み状況に対する取締役会の監督機能に関しては、引き続き強化していきます。

同委員会には、社外有識者の方に常時ご参加いただき、有識者ならではの経験や知見を活かした検討を行っています。
同委員会における議論にもとづき、経営企画部サステナビリティ推進室を通じて、サステナビリティ推進に関わるグループ全体への展開や連携強化、社内浸透を図っています。

取締役会

執行役会

サステナビリティ推進委員会

委員長:代表執行役社長 CEO 中田 誠司

サステナビリティ担当:執行役副社長 田代 桂子

社内委員16名、社外委員3名

サステナビリティ責任者

社内有識者WG

各本部・グループ会社

本社部門

Sustainability Advisory Group
座長:サステナビリティ担当

サステナビリティ関連WG

サステナブルビジネスWG
(各本部・グループ会社・
海外主要拠点)

ESG対応WG
(本社部門)

テーマ別グループ

事務局:経営企画部サステナビリティ推進室

一部の取締役(非業務執行取締役を含む)が委員として参加

サステナビリティ
開示WG

Scope3排出量
モニタリングチーム

サステナビリティ推進体制 サステナビリティ推進体制

(2023年4月1日時点)

サステナビリティ担当 当社グループ全体のサステナビリティに資するビジネスの推進、およびサステナブル経営の基盤強化への取組みを統括
サステナビリティ責任者 当社グループ内の各組織(各本部・グループ会社)において、SDGs/ESG関連ビジネスの推進およびKPIの進捗管理を実施
サステナブルビジネスWG サステナビリティ責任者のもとで、KPIのモニタリング、SDGs/ESG関連ビジネスの進捗状況の把握、課題の洗い出しおよびそれらの課題に対する施策を企画・実施
ESG対応WG 当社グループのESGに関する外部評価(投資家および評価機関)を参考に、ESG対応を拡充・強化
Sustainability Advisory Group サステナビリティに精通した社内有識者が集まり、当社グループの課題や今後の対応に関する意見交換を実施
サステナビリティ開示WG 部署横断の組織として、統合報告の観点からサステナビリティ情報開示の拡充を目指す
Scope3排出量モニタリングチーム 投融資ポートフォリオに係る排出量の計測および目標の設定を実施

サステナビリティ推進のあゆみ

2015年9月
SDGs(持続可能な開発目標)採択

SDGs(持続可能な開発目標)は、国連加盟国と多様な組織、人々によってつくられ、国連で2015年に採択された人類共通の17個の目標です。この目標達成に向けて各国が積極的に取り組むことが約束されました。大和証券グループは、SDGsを世界を牽引する重要な目標と捉え、国内外で事業を展開していく上で重要な共通言語として、社会課題にアプローチしていきます。

2018年2月
サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)の設置の公表

2018年度より、代表執行役社長CEO中田誠司を委員長とした「サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)」を設置しています。有識者である社外委員の方にご参加いただくことで、新鮮な発想や最新の情報を取り入れ、サステナビリティに資する取組みを改善・向上させながら、グループ横断的にサステナビリティを推進しています。

2018年4月
「中期経営計画(2018年度~2020年度) “Passion for the Best” 2020」の策定

中期経営計画“Passion for the Best” 2020では、経営戦略の根底にサステナビリティの観点を取り入れ、基本方針として、 「クオリティNo.1のコンサルティング力による付加価値の高いソリューションの提供」と、 「ハイブリッド型総合証券グループとして新たな価値の提供」を掲げました。お客様の資産の拡大と日本経済を牽引する企業の成長といった好循環を生む、 「未来を創る、金融資本市場のパイオニア」を目指してきました。

2018年5月
「Passion for SDGs ~大和証券グループSDGs宣言~」の発表

「サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)」では、大和証券グループのビジネスを通じ、積極的にSDGsに資する取組みを推進していくことを、「Passion for SDGs ~大和証券グループSDGs宣言~」として明文化しました。

2019年5月
SDGsマテリアリティおよびSDGs推進アクションプランの発表

大和証券グループ全体でサステナビリティを推進するためには、トップダウンの推進だけではなく、社員によるボトムアップの取組みが重要だと考え、サステナビリティに関連する取組み事例やアイデアを、社員から幅広く募集しました。アイデアの募集にあたっては、現状で何ができるかを考えるForecastingと、SDGs達成の期限である2030年に大和証券グループが“ありたい姿”を踏まえて、何ができるかを考える、Backcastingの、2つの視点を取り入れました。その結果、Forecastingでは、本部の部署からだけでなく、全国の支店や各グループ会社、海外拠点から4,200個を超えるアイデアが集まりました。また、Backcastingのアプローチでは、社内公募により集まった有志約120名が、2030年の大和証券グループの姿を見据え、その実現に向けた提言をしました。
このボトムアップの取組みから課題を抽出し、ステークホルダーとのコミュニケーションや社外有識者からの助言を通じて把握した社会からの要請を照合して整理し、サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)での討議を経て「大和証券グループのSDGsマテリアリティ」を決定しました。
また、このボトムアップの取組みから、社会課題解決のために重点的に取り組むべき事柄を抽出し、「大和証券グループSDGs推進アクションプラン “Passion for SDGs”2019」としてまとめました。

2020年5月
2020年度SDGs推進KPIの発表

SDGs達成期限となる2030年まで残り10年となったこの年、持続可能な資金循環を生む“大和版SDGsバリュー・チェーン”構築を目指し、SDGs推進アクションプランの取組みを加速させるため、アクションテーマごとにSDGs推進KPIを設定し、試験的な運用を開始しました。これにしたがって各取組みの進捗状況をモニタリングし、次年度以降の本格運用を見据えて、必要に応じて見直を行ないました。

2021年4月
経営ビジョン「2030Vision」、および「中期経営計画(2021年度~2023年度) “Passion for the Best” 2023」の策定

2030年に向けて、大和証券グループがどうありたいか、またどうあるべきかを役職員全員が共有し、一丸となって共通価値の創造に取り組むべく、2021年5月に、経営ビジョン「2030Vision」を策定・公表しました。
2030Visionでは、「貯蓄からSDGsへ」をコアコンセプトに、資金循環の仕組みづくりを通じたSDGsの実現を目指しています。
なお、「中期経営計画 “Passion for the Best” 2023」は、2030Visionの実現に向けた当初3年間の戦略と位置付けています。
大和証券グループは、今後も、サステナブルで豊かな社会の創造に向けて貢献してまいります。

FY2018-FY2020
前中期経営計画

FY2021-FY2023

新中期経営計画
“Passion for the Best” 2023

未来を共に創るベストパートナー
~Be with you~

基本方針

クライアントファーストと
クオリティNo.1の実現

ハイブリッド戦略による
新たな資金循環の確立

デジタルとリアルのベストミックスの追求

サステナビリティへの取組み

コーポレート戦略
財務・資本/リスクマネジメント/
コンプライアンス/人事/海外

ステーク
ホルダーの
価値・効用の
最大化

基本方針

クオリティNo.1の
付加価値

ハイブリッド型
総合証券としての
新たな価値

デジタル
トランスフォーメーョン

中期経営計画 ”Passion for the Best“ 2023 概要 中期経営計画 ”Passion for the Best“ 2023 概要

中期経営計画 “Passion for the Best” 2023では、経営戦略の根底にSDGsの観点を取り入れ、「クライアントファーストとクオリティNo.1の実現」と「ハイブリッド戦略による新たな資金循環の確立」という基本方針を継承し、さらに強化していきます。そして、DX推進が重要性を増していることから、「デジタルとリアルのベストミックスの追求」を3本目の柱に掲げています。
これら3点を基本方針とし、お客様に寄り添い、「未来を共に創るベストパートナー ~Be with you~」、となることをスローガンとします。
そして、SDGs/ESGを始めとするサステナビリティへの取組みや、本社部門におけるコーポレート戦略は、個別戦略を支える土台として一層強化していきます。

SDGs Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)

SDGsロゴ

2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するために、17のゴール・169のターゲットを掲げています。開発途上国だけではなく、日本も含む先進国の在り方を問い、その取組みの過程で地球上の“誰一人取り残さない(No one will be left behind)”ことを誓っていることが特徴です。