環境マネジメント・環境負荷低減への取組み

生活基盤である地球環境を守ることは、持続可能な社会形成に欠かせません。大和証券グループでは、社会の環境負荷を低減する商品開発や、環境技術、インフラ整備のための資金調達をサポートするなど、事業活動を通して環境課題の解決に貢献していきます。また、自らの事業活動では、環境負荷低減に向け、効率的な環境負荷データの収集体制を整えること、社員一人ひとりの環境意識向上を図ることを継続的に進めています。
当社はサステナビリティ推進体制の仕組みを通じて、気候変動や環境マネジメントへの対応を行なっています。

環境ビジョン

大和証券グループは、かけがえのない地球環境を将来世代へ引き継ぐため、本業である金融機能を活用して貢献する。

環境理念

私たちは、21世紀の持続可能な社会の形成に向けて、「地球温暖化の防止」「資源の循環的な利用」「生態系の保全」等の重要性を認識し、「金融業務を通じた環境課題解決への貢献」に努めるとともに、企業市民としても、継続的に環境負荷低減に努めます。

環境基本方針

  1. 1.本業を通じた環境への取組み
    低炭素社会、循環型社会、共生型社会の実現に向け、金融商品・サービスの開発・提供に努めます。
  2. 2.環境管理態勢の整備・運営
    環境管理態勢を整備し、環境活動の継続的改善に努めます。また、環境教育、啓発活動を実施し、社員の環境保全意識の向上に努めます。
  3. 3.省資源・省エネルギー・生態系保全への取組み
    省資源、省エネルギー技術やシステムの導入、効率的な利用(業務の効率化も含む)の推進に努めます。また、節水、リデュース(廃棄物等発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)に取り組み、循環型社会の実現への貢献に努めます。さらに、生物多様性への配慮、環境との共生等を目指し、グリーン調達の推進等に努めます。
  4. 4.環境コミュニケーションの推進
    環境に関する情報の積極的な開示に努めるとともに、お客様をはじめ、社会との幅広いコミュニケーションを図り、取引先、地域コミュニティ、NGO・NPO等との連携と協働に努めます。
  5. 5.環境関連法規制等の遵守
    環境関連法令・規則をはじめ自社の環境方針等を遵守し、環境保全に努めます。

株式会社大和証券グループ本社(2012年5月22日)

2022年度の目標
  • GHG排出量削減に向けた取組み
    前年度比で1%以上の削減を継続
    • 国内連結ベース
  • 使用電力削減に向けた取組み
    2013年度比で電力使用量におけるGHG排出量を51%以上削減(2030年度時点)
    • 単位面積あたり
  • 環境関連データの把握力・分析力の向上
  • エコカーの継続的な導入
  • トップランナー基準の製品の導入

事業活動における環境負荷低減に向けた取組み

環境会計の作成・公表

大和証券グループでは、環境負荷低減に向けた取組みの一環として、環境会計を作成・公表しています。環境保全のための費用および効果をより明確に把握することで、環境負荷低減を効率的に進めることができると期待しています。

グループ各社における取組み

大和証券では、本支店等の設備を更新する際、トップランナー基準の製品を指定しています。2019年度以降、本店ビルにおいてはタブレット型端末の導入とペーパーレス化の推進による、オフィス内設備の見直しを進めています。2022年度は、トップランナー基準機器への更新に加えて、複合機を10%削減など、余剰機器削減による環境負荷低減を計画しています。
また2014年度より、社用車を燃費性能が大幅に改善されたエコカー・ハイブリッド車に順次置換しています。予定される配備が完了すると、削減されるCO2排出量は杉の年間CO2吸収力に換算して4万本以上にあたると試算しています(メーカー公表燃費数値より、大和証券が試算)。
また、大和総研の本社ビルでは、LED照明の導入が2017年夏に完了しました。そのほか、大和証券グループでは、グリーン購入を推進しており集中購買において環境配慮型商品の採用に努めています。

  • エコカーの継続的な導入
    国内における社用車(大和証券):1,023台(うち、エコカー、ハイブリッド車の内訳)
    2021年導入実績 2022年導入計画 2022年3月末現在(累計)
    エコカー 69台 187台 820台
    ハイブリッド車 61台 63台 152台
  • 省エネルギー空調設備への2021年度投資額:43百万円(設置費用等を含む)
  • 2021年度の敷地内における土壌・地下水の汚染状況:0件
社員の環境意識向上に向けた取組み

当社グループでは、さまざまな取組みにより、社員一人ひとりの環境意識のさらなる向上を図っています。たとえば、社内報「不二」では、当社グループにおける環境への取組状況や、一人ひとりの心がけにより可能な環境対策の紹介等を行なっています。
また、文書の印刷にあたっては、集約および両面印刷を推奨しており、オフィス内の複合機エリアに、操作ガイダンスや紙使用量削減コストを掲示するとともに、モバイル型業務端末の導入にあわせて、紙使用量削減を促しています。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からテレワークを推進した結果、2021年度の紙使用量は、前年度比約16%の減少と、大幅な削減につながりました。

環境に配慮したサービスの提供・環境負荷低減への取組み

大和証券では、モバイル型業務端末やオンライントレードを活用し、以下のような環境に配慮したサービスの提供や環境負荷低減への取組み等を行なっています。

環境に配慮したサービスの提供

  1. 1.受入れ書類のペーパーレス化
  • お客様の口座開設やファンドラップ契約の他、主要な事務手続(住所変更、預貯金口座の届出等)についてペーパーレス・捺印レスで受付けできる仕組みを導入しました。これにより2021年度は20万枚の書面がデジタル化されました。(紙用の植林木20本分に相当。)
  1. 2.交付書類のペーパーレス化・環境負荷低減に資する販促物の導入
  • お客様に交付する報告書類(取引残高報告書や取引報告書など)や目論見書について、書面での交付に代えて、電子交付によりウェブ上で確認できる「eメンバー」サービスを提供しています。
  • 電子交付された報告書類および目論見書は、原則として交付後5年間はいつでもウェブ上で確認でき、必要に応じてパソコン等への保存や印刷が可能です。
  • 2022年3月末において、「eメンバー」サービスにご加入頂いているお客様の比率は、およそ半分に上っています。より多くのお客様にご利用いただけるよう、今後もご案内していきます。
  • また、大和証券では、ボールペンやセミナーバッグといった販促物の一部にLIMEXを採用しています。今後、さらなる展開を検討しています。
  • LIMEXとは石灰石を原料とした複合素材であり、環境負荷低減が期待されています。TBM社の商標登録です。
  1. 3.当社サービスを利用されている企業におけるペーパーレス化への貢献
  • 株式等を利用した福利厚生制度(持株会・職場つみたてNISA・企業型確定拠出年金等)や株式報酬制度(特定譲渡制限付株式〈RS〉・ストックオプション等)の導入企業向けに、2021年4月から新たな技術等を取り入れた、「制度商品WEBサービス」の提供を開始しました。当社は福利厚生制度導入企業における関連手続きのペーパーレス化にも貢献しています。
  1. 4.業界全体のペーパーレス化推進に向けた提言
  • 制度的な理由により、書面でなければ受付できない手続きもありますが、証券業界内のワーキング・グループにて、デジタル化を推進する要望を提出し、業界全体における環境負荷低減のための提言を行なっています。

業務を通じた環境負荷削減への取組み

  1. 1.社内申請のペーパーレス化
  • 社内における申請業務について、従来は書面・捺印が必要でしたが、2021年2月より画面上で申請・承認することができる仕組みを導入し、一層のペーパーレスを進めています。
  1. 2.社内便の廃止
  • これらの取組みにより、社内における書面の物流が減少したことから、2021年5月をもって社内便を廃止しました。今後も、物流車両の削減に取り組んでいきます。
GHG排出量

2021年度における当社グループのGHG排出量は、省エネルギーへの積極的な取組みにより、国内事業拠点は前年度比で約20%の減少となりました。

GHG排出量削減に向けた取組み

GHG排出量削減目標については、省エネ法、東京都の環境確保条例へ継続的かつ計画的に対応してきました。2021年7月本社ビルでの電力をグループ会社である大和エナジー・インフラが所有する再生可能エネルギー発電設備由来電力に切り替えを実施、その他自社物件への再生可能エネルギーの導入を進めています。また、節電対策として、クールビズの実施を含めて対応し、電力需給に余裕のある時期においても、節電への取組みを継続してきました。今後も引き続き節電等につとめていきます。

気候変動への適応策

近年、異常高温による海面の大幅な上昇や豪雨・巨大台風の発生・増加に伴い、大規模な風水害が発生する懸念が指摘されており、当社グループの複数拠点において、インフラや建物などの物理的被害を受ける可能性や災害対策に伴うコストの増加が予想されます。そのため、重要な設備・拠点の複数化や上層階への機器移動等を進め、業務への影響を極小化する取組みを続けています。また、事業活動においても、投資不動産の運営コスト増加に加え、保有資産の価値低下やビジネスの減少などが想定されており、保有資産の見直しやESGデューデリジェンス、脱炭素経済移行に貢献する新たな産業・企業の育成などの対応策が求められます。今後も当社グループは、気候変動に伴う物理的リスクおよび移行リスクの極小化を目指します。

不動産運用における取組み(大和リアル・エステート・アセット・マネジメント)

大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは、ESGに係るさまざまな課題に対し組織的に取り組むべく、2014年にサステナビリティ推進委員会を設置し、2019年3月に「ESGに関する方針」を制定しました。また、サステナビリティへの取組みのさらなる強化を企図して、2021年6月に「サステナビリティ推進室」を設置し、SDGsおよびESGに関する企画・立案・実行等を組織的に推進しています。

TCFD提言への賛同

同社では、気候関連課題への取組み方針・体制の明確化と取組み内容の開示拡充を推進するために、2021年12月に「気候変動・レジリエンスポリシー」を制定し、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明しました。2022年1月には、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」に加入しています。
気候変動が資産運用に大きな影響を及ぼす重要課題であると認識しており、今後、TCFD提言にもとづき気候変動に関するリスクと機会の特定と分析を行ない、事業活動における環境負荷削減に継続的に取組みながら、気候変動に関する情報開示を順次進めていきます。

TCFD提言への賛同
TCFD提言への賛同
TCFDコンソーシアムへの加入
TCFDコンソーシアムへの加入

環境認証取得に向けた取組み

大和証券オフィス投資法人では、保有するオフィスビルにおいて、環境負荷低減の取組み成果への信頼性・客観性を高め、保有物件の中長期的な資産価値を向上するべく、CASBEE不動産評価認証※1やDBJ Green Building認証※2およびBELS認証※3等の第三者による環境認証の取得に向けた取組みを積極的に推進しています。以下の通り、本投資法人の保有物件における環境認証の取得割合(2022年5月末時点)は、環境認証取得物件数:31物件、環境認証取得比率(※保有物件における延床面積ベース):61.3%となりました。

2020年
5月末時点
2022年
5月末時点
環境認証
取得
物件数
6物件 31物件
環境認証
取得比率
23.6% 61.3%
  • ※1CASBEE不動産評価認証・・・国土交通省が主導して開発した建築物の環境性能評価システムで、建築物それ自体の環境品質・性能に関する評価と、建築物の外部に対する環境負荷に関する評価の両面から総合的な環境性能の評価を行なう制度です。
  • ※2DBJ Green Building認証・・・DBJ Green Building認証とは、環境・社会への配慮がなされた不動産を支援するために、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)が創設した認証制度です。
  • ※3BELS認証・・・BELS認証とは、建築物省エネ法における省エネ性能の表示の努力義務に対応した住宅・建築物を格付けする第三者認証制度です。

賃貸住宅における取組み

大和証券リビング投資法人では、保有する賃貸住宅において、LED照明、省エネ型エアコン、節水型シャワーおよび節水型トイレの導入、エコクロスへの貼替、入居者に向けた節電・節水等の呼びかけの館内掲示など、環境保護への取組みを進めています。
また、宅配ボックスの設置を進めており、2022年3月末時点の賃貸住宅における設置比率は85.7%(棟数ベース)となっています。宅配ボックスの設置は、入居者の利便性向上だけでなく、再配送に伴うCO2排出の削減にもつながることから、今後も設置比率の維持・向上を目指していきます。

2021年度取組状況

LED照明設置 1,060台
省エネ型
エアコン設置
1,053台
節水型シャワー 258台
節水型トイレ 50台
エコクロスへの張替 約9万m2(CO2排出削減量:約17t)
節電/節水の呼びかけ掲示(プロスペクト・グラーサ広尾)
節電/節水の呼びかけ掲示(プロスペクト・グラーサ広尾)
宅配ボックスの設置(グランカーサ大森海岸)
宅配ボックスの設置(グランカーサ大森海岸)

カーボンニュートラルに資する調査研究事業への取組み(大和総研)

大和総研では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より、カーボンニュートラルに資する取組みとして水素社会の実現に向けた、世界各国の水素燃料電池に関する最新動向の収集、分析、さらに日本における水素燃料電池技術の開発戦略に向けた課題整理などを行なう調査研究事業を受託し、実施しています。
本調査研究では、安全・環境に配慮した水素社会の実現に向け、世界各国(米国、カナダ、EU各国、中国、韓国)の水素燃料電池に関する政策、市場、研究開発動向等の最新情報を幅広くタイムリーに収集・分析し、国内関係者に展開・共有していくことを目的としています。本件の活動の一環として、国際機関への訪問や国際会議にも出席しています。昨今、カーボンニュートラルとそれに向けたエネルギートランジションが世界的潮流となるなか、水素を不可欠な技術と位置付けて加速する動きが世界各地で広がっています。これまで先行してきた日米独に加えて、中国、韓国、オーストラリア、欧州諸国などさまざまな国が、それぞれの目的で水素の利活用を摸索しています。各国の動向を正確に把握し、評価・分析することで、今後の日本における水素燃料電池技術の開発戦略に向けて課題を抽出することもまた、本事業の目的です。
大和総研では、このように地球環境に配慮した新エネルギーの発展に関する事業にも積極的にかかわっていきたいと考えています。