はじめに

大和証券グループは、脱炭素社会の実現に向け、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿って、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」についての情報開示を進めています。

今年度開示の要点

(注)下線は昨年度からの追加・更新

項目 要点
はじめに
  • サステナビリティ推進の歩み
  • 気候変動に対する考え方
    (経営ビジョンとマテリアリティ、環境基本方針、カーボンニュートラル宣言)
ガバナンス
  • 監督体制
    (報告プロセス、主な審議内容三委員会の委員構成と出席状況)
  • 執行体制
    (報告プロセス、主な審議内容社外有識者の専門分野WG
  • サステナビリティKPIに連動した役員報酬制度
戦略
  • 気候変動シナリオに基づく定性分析(事業への影響)
    特定したリスクと統合リスク管理のリスクカテゴリーとの関連事業部門別に特定した機会対応策エンゲージメント事例
  • カーボンニュートラル実現に向けた移行計画
    (ロードマップ、Scope1・2・3ネットゼロに向けた進捗
  • 気候変動シナリオに基づく定量分析(想定損失額)
    NGFSシナリオを用いたシナリオ分析
リスク管理
  • 気候変動リスクを管理するプロセス
    (リスクアペタイト・フレームワーク、トップリスク
  • 気候変動リスクに関わる投融資等の対応
    環境・社会関連ポリシーフレームワーク
指標と目標
  • 自社の温室効果ガス(GHG)排出量
  • 投融資ポートフォリオのGHG排出量等
  • SDGs関連ビジネスへの投資残高
  • 炭素関連資産
アセットマネージャーとしての対応
  • アセット・マネジメント部門の対応状況
Appendix
  • 投融資ポートフォリオのGHG排出量の計測方法

サステナビリティ推進の歩み

当社グループは、気候変動関連の各種イニシアティブに賛同し、気候変動への取組みを進めています。2018年に国内証券会社として初めて、TCFD提言への賛同を表明し、それ以降、毎年TCFD提言に基づく開示を行っています。

図表1-1 歩み

図表1-1 歩み

気候変動に対する考え方

経営ビジョンとマテリアリティ

当社グループは2021年5月、SDGsの達成期限である2030年に向けて、当社グループの目指すべき姿を経営ビジョン「2030Vision」として策定・公表しました。そのなかで、ステークホルダーとのコミュニケーションや社会的な要請および当社グループが社会に与えるインパクト等を踏まえ、「グリーン&ソーシャル:脱炭素社会への移行の促進とレジリエントな社会の実現」を重点分野(マテリアリティ)の一つと位置付け、取組みを進めています。

「2030Vision」の達成に向けた最初の3年間の戦略と位置づけている中期経営計画「“Passion for the Best” 2023」においては、ビジョン実現の進捗を管理するためのサステナビリティKPIを設定しています(図表2-6)。これらのKPIについては、各組織におけるサステナビリティ責任者が進捗管理を行い、サステナビリティ推進委員会や取締役会に報告される体制となっています。

環境ビジョン・環境理念・環境基本方針

当社グループは、気候変動リスクへの対応を含め環境課題の解決に貢献するため、2012年5月に「環境ビジョン」「環境理念」「環境基本方針」を定めています。

図表1-2 環境ビジョン・環境理念・環境基本方針

環境ビジョン

大和証券グループは、かけがえのない地球環境を将来世代へ引き継ぐため、本業である金融機能を活用して貢献する。

環境理念

私たちは、21世紀の持続可能な社会の形成に向けて、「地球温暖化の防止」「資源の循環的な利用」「生態系の保全」等の重要性を認識し、「金融業務を通じた環境課題解決への貢献」に努めるとともに、企業市民としても、継続的に環境負荷低減に努めます。

環境基本方針

  1. 1.本業を通じた環境への取組み
    低炭素社会、循環型社会、共生型社会の実現に向け、金融商品・サービスの開発・提供に努めます。
  2. 2.環境管理態勢の整備・運営
    環境管理態勢を整備し、環境活動の継続的改善に努めます。また、環境教育、啓発活動を実施し、社員の環境保全意識の向上に努めます。
  3. 3.省資源・省エネルギー・生態系保全への取組み
    省資源、省エネルギー技術やシステムの導入、効率的な利用(業務の効率化も含む)の推進に努めます。また、節水、リデュース(廃棄物等発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)に取り組み、循環型社会の実現への貢献に努めます。さらに、生物多様性への配慮、環境との共生等を目指し、グリーン調達の推進等に努めます。
  4. 4.環境コミュニケーションの推進
    環境に関する情報の積極的な開示に努めるとともに、お客様をはじめ、社会との幅広いコミュニケーションを図り、取引先、地域コミュニティ、NGO・NPO等との連携と協働に努めます。
  5. 5.環境関連法規制等の遵守
    環境関連法令・規則をはじめ自社の環境方針等を遵守し、環境保全に努めます。

大和証券グループ カーボンニュートラル宣言

当社グループは、カーボンニュートラル社会の早期の実現に向け、世界が直面している最も深刻な問題の一つである気候変動への対応の重要性・緊急性を認識し、気候変動対策への中長期的な貢献を果たすために、「大和証券グループ カーボンニュートラル宣言」を策定し、実行しています(図表 1-3)。

当該宣言にもとづき、①2030 年までの当社自らのGHG排出量であるScope1・2ネットゼロ、および②2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等であるScope3ネットゼロの達成を目指しています。また、③金融ビジネスを通じた脱炭素社会へのスムーズな移行の支援として、お客様の脱炭素化に向けた取組みや脱炭素社会実現に貢献する新技術への支援などにも引き続き取り組みます。

図表1-3 大和証券グループ カーボンニュートラル宣言と主な重点方針

  1. 2030年までの自社のGHG排出量(Scope1・2)ネットゼロ
  2. 2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量等(Scope3)ネットゼロ
  3. 金融ビジネスを通じた脱炭素社会へのスムーズな移行の支援
  • *自社の範囲は、連結ベースで算出予定

ファイナンスを通じた
脱炭素社会実現

  • グリーンファイナンス/トランジション・ファイナンスの促進
  • 再生可能エネルギー分野における事業投資の拡大
  • 投融資先に対するエンゲージメントの強化

脱炭素社会実現に貢献する新技術の
支援・ソリューションビジネスの推進

  • イノベーション(水素、CCUSなど)の開発促進・新技術への支援
  • 再生可能エネルギー分野向けのアドバイザリー事業の拡大

脱炭素社会実現に
資する投資機会の提供

  • 関連商品・サービスのラインアップ拡充
    • -環境をテーマにした投資信託の拡充
    • -グリーンボンドをはじめとするSDGs債のアレンジ
    • -環境分野におけるSDGs-IPOの促進

自社の環境負荷低減

  • 再生可能エネルギーの導入
  • エネルギー利用効率化の継続
  • カーボンオフセットの検討

パリ協定と整合的な目標設定と
透明性のある情報開示

  • 投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量の管理手法の検討
  • SBTなどを活用したパリ協定と整合的なScope3に関する中間目標の設定(2023年度中)
  • 気候変動対応に関連する適切な開示(TCFDなど)

グループ推進体制の強化

  • 大和証券グループ「環境・社会関連ポリシーフレームワーク」の運用・見直し
  • 役員報酬へのサステナビリティ要素の反映