資産形成のサポート

大和証券では、「人生100年時代」における資産運用の重要性が広く認識される現在、良質な商品を開発・提供することが社会における大きな役割のひとつであると考えています。経済・社会の変化や、多様なお客様のニーズおよび満足度を踏まえた商品の開発とクオリティの向上に努めています。

共通価値を追求した商品提案

SDGs債の引受・販売などの事業活動を通じた取組み

気候変動はあらゆる国々にとって重大な脅威であり、その影響を最初に受けるのも、もっとも大きな影響を受けるのも開発途上国であるといわれています。気候変動は、これまで数十年にわたって積み上げられてきた貧困に対する社会的な取組みを台無しにしてしまう可能性があり、貧困問題と切り離して考えることができません。
この数年、サステナビリティへの取組みが世界的に広がってきたことで、関連する債券市場の拡大とともにお客様のサステナビリティへの関心も高まっています。大和証券は日本におけるSDGs債(従来のインパクト・インベストメント債券を含む)のパイオニアとして、公的機関や金融機関等が社会課題の解決を目的に発行する債券に、お客様が投資する機会を提供しています。
今後も大和証券グループは、グリーンボンドをはじめとするSDGs債の引受・販売などの事業活動を通じて、社会課題の解決に向けて貢献していきます。

大和証券が販売した個人投資家向けSDGs債(2022年度)

発行体 資金使途 販売額
(概算)
イオンモール サステナビリティ・リンク・ボンド 130億円
三重県 グリーンボンド 1億円
北九州市 サステナビリティボンド 2億円
日本ハム サステナビリティボンド 30億円
山口フィナンシャル・グループ グリーンボンド 100億円
東急 サステナビリティボンド 25億円
東京都 グリーンボンド 19億円
国際協力機構 ソーシャルボンド 9億円
  • 大和証券を含む複数社で販売(上記販売額は、大和証券引受分)。

ESGファンド

ESGファンドとは、サステナブルな社会への移行に向けESGやSDGs目標達成などに取組む企業への投資など、ESGを投資対象選定の主要な要素としており、その内容に関する開示が可能である投資信託です。

これらに投資することで、金融市場を通じてサステナビリティの取組みに積極的な国や企業などを間接的に応援することができます。

当社では、多様なお客様のニーズに応える商品ラインアップを拡充しています。

脱炭素に向けたファンドでの取組み(大和アセットマネジメント)

大和アセットマネジメントは、脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)の設定・運用を行なっています。同ファンドは、世界株式の中から主に脱炭素社会に貢献するソリューション企業に投資を行ない、対MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス比で、低い二酸化炭素排出量を実現しています。また、運用助言のカンドリアム社(カンドリアム・エス・シー・エー)では、ファンド助言から得た報酬の一部を、CO₂削減を目的としたグリーンプロジェクトへ資金拠出することで、ファンドとしてカーボンゼロを目指しています。同ファンドのESG情報は、インパクトレポートにて報告しています。

さらに、同社や大和証券を含む一部販売会社は、NPOを通じて信託報酬の一部を日本の植樹活動へ寄付しています。これにより、受益者と共に、脱炭素社会の実現に歩みを共にする機会を創造しています。

「ファンドラップ」の取組み

人生100年時代において中長期的な資産運用が重要になります。ダイワファンドラップは投資一任契約のもと、お客様に代わり大和証券が資産の運用・管理を行なうことにより、投資経験のない方や忙しい方でも、長期分散投資を始めていただくことができるサービスです。サービス提供のなかで、お客様との密接なコミュニケーションを心がけて信頼関係の構築を図っています。
今後とも、お客様に長くお付き合いいただけるよう、パフォーマンスとサービスの質を向上すべく、体制やシステムの整備への取組みを続けていきます。

  • 国内ラップ口座残高:14兆6,472億円(2023年3月末現在)
  • 出典:一般社団法人日本投資顧問業協会公表資料
  • 大和証券におけるラップ口座残高:3兆955億円(2023年3月末現在)
  • 出典:一般社団法人日本投資顧問業協会公表資料
  • ダイワ社会貢献ラップ(寄附サービス付ダイワファンドラップ)
    2022年度寄附実績:758万円(直近3年間累計寄附実績:5,967万円)
  • お客様からの寄附金額および大和証券寄附金額の合計
  • 寄付先:食糧支援(国連WFP)、医療(国境なき医師団日本)、子ども支援(日本ユニセフ協会)、環境(WWFジャパン)、災害復興(ジャパン・プラットフォーム)

ソリューションビジネスへの取組み

中小企業や小規模事業者において、高齢化により多くの経営者が事業承継のタイミングを迎えようとしています。また、今後10年間で平均引退年齢である70歳を超える経営者のうち約半数が後継者未定といわれており、地域経済を支える事業活動の継続性自体にも逆風が吹いています。大和証券では、中小企業の貴重な経営資源や、雇用・技術を次世代に引き継ぎ、地域のサプライチェーンを維持することを金融面からサポートすることは、金融機関としての責務であると考えています。相続・事業承継・M&A等の課題解決に向けたソリューション提供を通じて、優良中小企業の存続・発展的成長を促すことにより、地域社会、日本経済の持続的発展を支援していきます。

「制度商品WEBサービス」の取組み

豊かな人生100年時代の実現に向けた資産形成層のサポートツールとして、「制度商品WEBサービス」を提供しています。
株式等を利用した福利厚生制度(持株会・職場つみたてNISA・企業型確定拠出年金等)や株式報酬制度(特定譲渡制限付株式〈RS〉・ストックオプション等)の各商品を、インターネットの同一のプラットフォーム上で一元管理できるサービスであり、お客様のライフプラン実現に向けた資産形成サポートと、企業による持株会・積立投資等の福利厚生制度への積極的な加入促進が可能となっています。
企業および企業にお勤めの社員の方に向けて、デジタルトランスフォーメーション(DX)を背景とした最新技術により、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)をベースとする自由度の高い連携の構築、クラウドサービス活用による口座開設の時短化・省力化などの高い利便性の提供、および各種手続きでの完全ペーパーレス化・押印レス化の実現を進めています。

スマホ専業証券会社「大和コネクト証券」による資産形成層向けサービスの拡充

証券会社は富裕層が利用するもので、証券取引には難しい金融知識が必要だ、という一般的なイメージは、スマートフォンなどの技術革新によって崩れつつあります。金融包摂をいかに意識してすべての人に届き得る証券サービスを生み出すかは、大和証券グループだけでなく証券業界の課題であると認識しています。
2020年7月よりサービスを開始した大和コネクト証券は、大和証券グループが生み出す新しい証券会社として、口座開設から取引、資産管理までをスマートフォンで完結できることを特徴とし、初心者でも少額から手軽に資産運用を始められるサービスを中心に提供しています。
また、外部企業と提携して投資が楽しく学べるゲームアプリ、貯めているポイントが投資につかえるポイント投資サービス、クレジットカード決済で積立投資をしながらポイントも貯まるクレカ積立サービスなどを提供することで、少額からでも金融知識を気軽に学べる機会を実現し、金融サービスへのアクセスを多角化しています。
大和コネクト証券は、今後もすべての人が、より良い金融サービスにアクセスできるよう、サービスの開発・提供を進めていきます。

社会問題の解決に向けたREIT及びファンド等の取組み

ヘルスケア施設への投資

大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは日本初のヘルスケア施設特化型REIT「日本ヘルスケア投資法人」を運用していましたが、同じく同社が運用する住宅特化型REIT「日本賃貸住宅投資法人」と2020年4月1日付で合併し、ヘルスケア施設運用資産額最大のJリート「大和証券リビング投資法人(以下、DLI)」が誕生しました。DLIは、高齢化のさらなる進展により、中長期的に社会的需要の拡大が見込まれる優良なヘルスケア施設への投資を通じ、「健康・長寿の達成」という日本の優先課題(政府SDGs推進本部策定のSDGs実施指針より)の解決に寄与していきます。
また、DLIは、ソーシャルファイナンスを通じたESG投資機会を投資家に提供すべく、ソーシャルファイナンス・フレームワークを策定し、株式会社日本格付研究所(JCR)より最上位評価「Social 1(F)」を取得しています。同フレームワークにもとづき、2023年3月までにソーシャルローンによる借入(99.2億円)を実施、2022年1月にはソーシャルボンド(20億円)を発行、調達資金はヘルスケア施設の取得資金等に充当しています。

ヘルスケア施設総額

  • 約1,082億円(2023年5月末現在)

再生可能エネルギーへの投資

インフラ資産については、2014年度から太陽光発電所の運用を開始しており、2017年度には大和エナジー・インフラが投資するバイオマス発電所の運用業務を受託しています。また、2021年9月には国内の機関投資家より出資を募り設立された、太陽光発電事業を投資対象とした私募ファンドである「DSREFコア・アマテラス投資事業有限責任組合」の運用業務を受託しています。今後も運用資産残高を拡大するとともに、再生可能エネルギー分野における投資運用の知見の蓄積を図っていきます。

再生可能エネルギー発電所の運用実績

  • 件数:23件
    (北海道、東北、北陸、関東、中部、関西、中国、四国)
  • 出力:太陽光発電所約252MW(底地運用資産分を除く)、バイオマス発電所13MW
  • 年間発電量実績(2022年4月~2023年3月):331,977MWh
    (想定CO2削減量:152,290t-CO2、地域毎電気事業者別排出係数にて算出)
  • 運用資産残高:約875億円

2022年度の海外拠点の取組み

多様なESGボンドを引受け、地球環境と社会課題の解決に貢献

大和証券キャピタル・マーケッツアメリカ(以下、DCMA)は、2022年4つの重要なESGボンドの主幹事を務め、社会課題の解決と地球環境保護への貢献を果たしています。7月には、国際復興開発銀行(IBRD)から発行されたサステナブル・デベロップメント・ボンドを引受、交通安全支援システムの構築などに調達資金が活用されます。続いて9月には、米州開発銀行の森林保護ボンドを引受、森林保護プロジェクトへの投資を実現しました。そして12月には、チリの水道事業会社アグアス・アンディーナスから発行されたグリーンボンドと、中米経済統合銀行(CABEI)から発行された初のブルーボンドを引受、水道事業の強化と海洋保全にそれぞれ資金が割り当てられました。

DCMAはこれからも活動を通じて、SDGsの達成とESG投資の促進に寄与してまいります。

ESG関連債券支援とSDGsへの貢献

大和証券キャピタル・マーケッツ ヨーロッパリミテッド(以下、DCME)は、大和証券グループの一員として、投資をSDGsに結び付けることで社会にプラスの影響をもたらす証券会社としての役割の重要性を認識し、SDGsを支持しています。

DCMEは2008年より、ESG関連の債券発行をサポートしており、SDGの目標に沿った100件以上の取引を主導しています。大和証券グループとDCMEは、引き続き社会・環境に関する取組みへの資金供給を支援していきます。

アジア地域での重要なウェビナーとカンファレンスの開催

大和証券キャピタル・マーケッツシンガポールでは2022年9月に、Daiwa ESG Conference 2022と題して、アジアESG債に関するウェビナーを開催しました。大和証券のサステナビリティ・ソリューション推進部や債券発行体、ESG評価機関をスピーカーに招き、日本やアジアのESG債市場の現状や展望について議論が交わされました。

また同年11月、3年ぶりに対面開催されたDaiwa Capital Markets Conference (DCMC)にて、インドネシア財務省政府債券ディレクターによるブルーボンド(サムライ債)に関するスピーチをアレンジし、2023年5月の同国初のブルーボンド発行につながりました。

Aguas Andinas発行グリーンボンドを香港投資家向けに組成・販売

大和証券キャピタル・マーケッツ香港、DCMAは2022年12月、チリで飲料水の販売、および下水処理サービスを手掛る公共サービス系事業法人、Aguas Andinas社発行のグリーンボンドを、香港投資家に組成・販売しました。同社債は、チリ国内における上下水道サービス向上に伴う社会的及び経済的発展に寄与することを企図したグリーン・ボンド・フレームワークより発行され、調達資金はチリ国内における飲料水供給、排水処理、配水システムのインフラ等のプロジェクトに充当されます。

情報分析と提供

大和証券グループでは、総合証券グループとして、投資情報にとどまらず、経済や社会に関する幅広い情報を発信し、お客様や投資家をはじめ、長期的な視野からの政策提言を通じてさまざまなステークホルダーの皆様のお役に立ちたいと考えています。

ESGに関する情報提供の取組み(大和証券)

大和証券エクイティ調査部は、アナリストやストラテジストが企業の財務情報や業界動向、社会経済情勢を分析・評価し、株価式価情報や投資戦略を機関投資家(資産運用会社、銀行、保険会社、年金基金等)向け中心に提供しています。
近年は、SDGsやパリ協定等の国際アジェンダの盛り上がりを背景に、環境(E)、社会(S)、コーポレート・ガバナンス(G)に関する非財務情報を中長期の投資判断に利用する投資家ニーズが高まってきました。そこで、2019年5月にESG情報を専門に取り扱うESGリサーチ課をエクイティ調査部内に新設し、財務・非財務情報を一体的に分析・評価するための体制整備を行ないました。ESGリサーチ課では、気候変動や人権・ジェンダー問題、企業統治体制、社会的インパクト等を焦点にした分析レポートの執筆やESGセミナーの開催等に取り組んでいます。
ESG情報は企業と社会全体が長期持続的に発展するために今後ますます重要になってきます。機関投資家が責任投資や企業と目的を持った対話(エンゲージメント)を通じて中長期的な投資リターンの拡大が図れるよう、タイムリーで的確なESG情報の提供に努めています。
金融市場調査部でも、2021年10月に債券市場におけるサステナビリティを中心に扱う証券化商品・SDGs債調査課を新設しました。SDGs債市場動向、気候変動と債券市場、ESG投資パフォーマンスなど高まる機関投資家への情報ニーズにお応えしています。

総合的な情報発信・政策提言活動

大和証券グループのシンクタンク機能を担う大和総研は、幅広い分析や社会に向けた情報発信を行なっています。金融資本市場や実体経済に関する総合的な情報発信、政策提言活動を行なうことは同社の使命であると考えています。情報の早さや深さ、ほかにはない独自性のある視点を常に追求し、社会のニーズに応える情報を発信するため、企業、投資家、政府・自治体などの公的機関、各種経済団体、海外のシンクタンク、メディアとの情報交換・議論を通じて、社会動向やトレンドの変化を分析し、情報を発信しています。
ESG情報の発信にも力を入れており、ESG調査課を中心に関連情報の調査・分析・発信に注力しています。近年、世界的にサステナビリティ関連の情報開示の枠組み策定が急速に進展しており、発行体、投資家双方の関心が高まっています。同課では2022年度にSDGs/ESGに関連する25本のレポートを公表し、金融法人や事業会社に対して65件の情報提供訪問を行なっています。

多様な媒体による発信~大和総研~

  • ウェブサイト上に掲載したレポート数:506本(2022年度実績)
  • 公表レポート全文をウェブサイトに掲載
  • リサーチ部門のページへの最近のアクセス件数:426万件(2022年度実績)

大和総研リサーチ本部は、レポート執筆、メディア出演、書籍出版など情報発信を多角的に行なっています。複雑な経済・社会的課題を明確に解説し品質を重視したレポート作成を行なうことで、お客様とのコミュニケーション機会が増加しています。
大和証券投資情報部は、「ダイワ投資情報マンスリー」などの定期刊行物を発行し、一般のお客様に向けた情報提供を行なっています。また、出版社を通して発売する書籍や、金融イベント情報を入れた卓上カレンダーや壁掛け用の相場チャートなど、一般のお客様に向けてさまざまな形で情報を発信しています。
大和証券グループでは、人気のストラテジスト・アナリストが講師を務めるウェビナーを開催し、リアルタイム視聴やチャット機能を通じて多くのお客様に情報を提供しています。2022年度は約4.3万人が参加し、今後も情報のわかりやすい発信に取り組みます。