2024年度 大和証券グループ経営方針
~ Passion for the Best ~

2023年度は日本経済にとって大きな転換点を迎えた一年となった。30年にわたるデフレからの完全脱却が視野に入る中、インバウンド需要を中心に経済の回復が鮮明になるなど、ポストコロナ時代における経済活動が本格的に正常化の過程に入った。株式市場では、堅調な企業業績、東証による資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の要請、海外投資家による日本株買い等を背景に、日経平均株価は史上最高値38,915円を34年ぶりに上回った。金融政策では、8年ぶりにマイナス金利が解除され、正常化への一歩が踏み出された。当社グループにおいては、「資産管理型ビジネスモデルへの移行」と「ハイブリッドビジネスの拡大」が着実に進展し業績回復へと繋がった。

こうした外部環境を背景に、貯蓄から資産形成への大きなうねりが生じようとする中、当社グループは2024年度から2026年度までの3年間を対象期間とした新グループ中期経営計画~“Passion for the Best”2026~を策定した。本中期経営計画は、2030年度に当社グループが目指す姿、すなわち外部環境に左右されにくい強固な収益基盤の確立に向け、バックキャスティングで優先的に実施する戦略と施策を取りまとめたものとなる。グループ経営基本方針として「お客様の資産価値最大化」を掲げ、全てのグループビジネスにおいて、的確な市場環境分析と深度あるお客様理解に基づいた質の高いコンサルティングやソリューションを提供することで、中長期的なお客様の資産価値向上に取り組んでいく。

本中期経営計画の初年度となる2024年度は、以下に掲げる行動計画を推進し、政府が掲げる資産運用立国の実現、ひいては金融・資本市場を通じた豊かな未来の創造に貢献していく。

各事業部門のアクションプラン

ウェルスマネジメント部門

  1. 1.お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスの進化
  2. 2.富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品、サービス及びソリューションの拡充
  3. 3.デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の確立
  4. 4.外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによる顧客基盤の拡大
  5. 5.銀行ビジネスにおける富裕層のお客様向けソリューションの拡充

アセットマネジメント部門

  1. 1.運用の高度化・商品開発力の向上を通じた高付加価値な資産運用サービスの提供
  2. 2.オルタナティブ商品の拡充や投資顧問領域への本格参入による新たなビジネス基盤の確立
  3. 3.不動産アセットマネジメント事業における資産運用力・物件ソーシング力の強化及びグループ内連携の推進
  4. 4.オルタナティブ投資の知見・実績を活かした良質な投資機会の提供及びパフォーマンスの追求

グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門

  1. 1.幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供
  2. 2.ウェルスマネジメント部門との更なる連携強化によるビジネス基盤の拡大
  3. 3.未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化
  4. 4.経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上

その他(大和総研グループ)

  1. 1.リサーチクオリティのさらなる向上を通じて、より良質な情報をタイムリーに発信
  2. 2.ITサービスのプラットフォーム化、AI・データサイエンスの活用による顧客サービスの拡充
  3. 3.社会保険事業で蓄積してきたデータを活用したソリューションの提供により健康寿命の延伸に貢献