2023年度 大和証券グループ経営方針
~ Passion for the Best ~
2022年度は、ロシアのウクライナ侵攻と世界の分断、インフレ圧力の高まりと金融引き締めなど、グローバル経済が大きな転換点を迎える中、証券・金融市場は激しい変動に見舞われた。そのような厳しい環境の中、当社グループにおいては、中期経営計画~“Passion for the Best”2023~に掲げた各種施策を推し進め、一定の成果を残すことが出来た1年であった。具体的には、資産管理型ビジネスモデルへの移行とハイブリッドビジネスの拡大による新たな商品・サービスの創出を通じて、収益構造の多様化・安定化が着実に進展しており、当社グループが目指す方向性が正しいことを改めて示す結果となった。
中期経営計画の最終年度となる2023年度は、未だ先行きの不透明感は払拭されていないものの、我が国においてもコロナ禍が節目を迎えるとともに約30年にわたり続いてきたデフレからの脱却への転換点を迎える。また、NISAの抜本的拡充やiDeCoの利便性の向上など、資産所得倍増プランに掲げる政府の取り組みは「貯蓄から投資へ」の流れを後押しするものとなる。当社グループとしては、環境変化にぶれることなく、「お客様の最善の利益」を追求した資産管理型ビジネスモデルへの移行を愚直に推し進める。加えて、ハイブリッドビジネスの強化を通じて、幅広いお客様のニーズに適したオルタナティブ投資機会の拡充を図る。更に、揺るぎ無いサステナビリティの潮流を踏まえ、トランジション・ファイナンスをはじめとした社会課題の解決に向けた取り組みをサポートする。
これらの取り組みを同時並行で推進することで、マーケット環境に左右されにくい収益構造を構築すると共にサステナブルで豊かな社会の実現に貢献していく。
各事業部門のアクションプラン
リテール部門
- 1.資産管理型ビジネスモデルの確立
- 2.多様なお客様ニーズに応える商品・サービスの提供、総資産アプローチによるソリューションビジネスの拡大
- 3.外部チャネルとの業務提携を活用したニュービジネス展開と収益化
- 4.マスマーケティング及びお客様対応のデジタルシフト、サステナビリティへの取り組み
ホールセール部門
- 1.お客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供
- 2.リテール部門との更なる連携強化によるビジネス基盤の拡大
- 3.収支構造の改善に向けたグローバルビジネスの再構築
- 4.サステナブルファイナンスの促進による企業支援
- 5.デジタル人材拡充とデータ駆動型ビジネスの推進
アセット・マネジメント部門
- 1.運用力・発掘力・商品アレンジ力強化による既存事業の拡大
- 2.オルタナティブ資産を投資対象とした商品の開発等、新ビジネスの研究開発・事業化
- 3.不動産アセット・マネジメント事業における資産運用力強化及び事業基盤の確立
- 4.グループ内連携による、不動産等オルタナティブ関連ビジネスの推進
投資部門
- 1.優良な投資機会の発掘、投資先のバリューアップ及びモニタリング体制の強化
- 2.再生可能エネルギー分野でのキャピタル・リサイクリングモデルの推進
- 3.継続的なVCファンド運用ビジネスの確立
- 4.サステナビリティを意識した社会的意義のある投資対象の開拓
その他(大和総研グループ)
- 1.ITサービスのプラットフォーム化やAI・データサイエンスによる新たな価値の創出
- 2.高品質で安定的なサービスを低コストで提供することで、大和証券グループのコストダウンへ貢献
- 3.お客様企業の特性に応じた営業体制の更なる強化、お客様ニーズに沿ったコンサルティングからシステムまでトータルソリューションの提供、データサイエンスやサイバーセキュリティ等の高度な知見を要するソリューションによるビジネス基盤の拡大
- 4.情報発信と情報収集・意見交換との好循環を起こしてリサーチクオリティの向上
その他(大和ネクスト銀行)
- 1.預金量の拡大と収益性の両立
- 2.グループ内連携の強化
- 3.国内外の金利環境に応じた運用残高の拡大や、運用対象の多様化
- 4.応援定期預金やESG投融資への継続的取り組み