AIガバナンス
近年、AI(人工知能)技術は急速な進化を遂げ、金融サービスのあり方に大きな変革をもたらしています。大和証券グループでは、お客様へのより良いサービスの提供、業務の高度化・効率化、そして新たな価値創造の実現に向け、AIの積極的な活用を推進しています。 一方で、AIの活用が拡大する中、公平性・透明性・プライバシー保護・安全性といった観点からの適切な管理は、これまで以上に重要性を増しています。AIが誤った判断を下すリスクや、意図しないバイアスが生じるリスク、お客様の大切な情報が不適切に取り扱われるリスクなどに真摯に向き合うことは、金融機関として果たすべき重要な社会的責務であると私たちは考えています。
AIガバナンスとは、AIの利便性を最大限に活かしつつ、想定されるリスクを適切に把握・管理することで、お客様に安心してAIをご利用いただくための枠組みです。 大和証券グループでは、AIの活用を制限するのではなく、お客様からの信頼を守りながら、その可能性を責任ある形で広げていくための基盤として、AIガバナンスの取組みを推進しています。
AIガバナンスの取組み
AIの活用に伴う倫理的リスクや社会的影響に適切に配慮しながら、AIが顧客や社会の豊かさと信頼の向上に資するかたちで活用されることを目指し、大和証券グループは、2023年6月に基本的な考え方を示す「グループAIガバナンス指針」を策定しました。
あわせて、AI活用に関わるリスクを組織横断的に把握・管理するため、「グループAIガバナンス委員会」を設置し、AIに関するリスクの識別・評価・対応を一元的に管理する体制を整備しています。
また、AIシステムの影響度や用途に応じて管理の強度を柔軟に調整する「リスクベースアプローチ」を採用し、高リスク領域におけるAI活用については、厳格な審査プロセスおよび継続的なモニタリングを実施しています。
さらに、AIガバナンスをグループ全体で実効的に機能させるため、全役職員を対象とした研修を定期的に実施し、AIリテラシーの向上と責任ある活用に対する意識の醸成に取り組んでいます。
これらの取り組みを通じて、人間中心、公平性、透明性および説明責任といった原則に基づき、技術の適正な活用と社会との調和を図り、お客様・社会から信頼されるAIの実現を目指しています。
ガバナンス体制
2023年、大和証券グループは、AI活用に関するグループ全体のガバナンスを統括する機関として、「グループAIガバナンス委員会」を設置しました。同委員会は、デジタル戦略の最高責任者であるCIOを委員長とし、サステナビリティ、企画、コンプライアンス、人事、リスク管理(CRO)といった経営の中核機能を担う責任者で構成されています。これにより、技術、リスク、倫理、人材育成など、AIに関わる多様な論点を横断的かつ実効的に管理できる体制を確立しています。 委員会では、AIガバナンス指針の策定・改定をはじめ、AI活用に関わる重要事項の審議や事例報告を定期的に行っています。これまで、AIに関するリスクを体系的に整理・レビューし、必要な対策を明確化する「リスクレビュー・対策シート」の整備による審査プロセスの標準化、お客様向けAIサービスの導入に関する審議、お客様接点における生成AIの利用状況を踏まえたモニタリングルールの策定など、具体的な施策の立案・決定を行ってきました。
あわせて、国内外のAI規制やガイドラインの動向を継続的に把握し、グローバルな規制環境の変化を踏まえた対応を推進しています。
こうした委員会での決定事項・審議内容はグループ各社へ迅速に展開され、現場レベルの課題や知見を委員会にフィードバックする双方向のガバナンスサイクルを通じて、グループ全体として一貫性のある信頼されるAI活用の実現を目指しています。
リスク評価体制
大和証券グループでは、AIの活用に伴うリスクを適切に管理するため、AIシステムの用途や影響度に応じて対応の優先度を定めるリスクベースアプローチを採用しています。すべてのAI活用案件に対して一律かつ過度な対応を求めるのではなく、リスクの大きさや性質に応じて管理水準を柔軟に設定することで、イノベーションの促進を阻害せず、実効性の高いガバナンスの実現を図っています。
具体的には、AIの導入・活用の各段階において、リスクレビュー・対策シートを用いた確認を実施しています。シートでは、対象となるAIシステムの目的や機能、利用範囲をはじめ、公平性、透明性、個人情報保護、セキュリティといった多面的な観点からリスクを体系的に整理・レビューします。これにより、潜在的なリスクを導入前の段階で可視化し、必要な対策を講じたうえでAIを活用できる体制を整えています。 また、AIシステムの導入後においても、定期的なモニタリングを通じて、その動作、出力、利用状況および業務やお客様への影響を継続的に確認しています。現場で得られた課題や知見は、リスクレビュー・対策シートを通じて委員会に集約され、ガバナンスの見直しや対応方針の改善に反映されます。 こうした取り組みにより、社会環境や規制動向の変化にも柔軟に対応しながら、継続的な見直しと改善を行い、リスク管理の水準を高めていくことで、お客様・社会から信頼されるAI活用の実現に取り組んでいます。
従業員教育
大和証券グループでは、AIガバナンスを組織全体に定着させるため、全従業員を対象とした体系的なAI教育に取り組んでいます。その中核を担うのが、グループ独自の学習プラットフォームである「Daiwa Digital College」です。同プラットフォームを通じて、AIリテラシー研修やデジタル人材育成プログラムを展開し、従業員一人ひとりがAIを正しく理解し、責任あるかたちで活用できる人材の育成を推進しています。
研修は、2025年度より定期的に実施しており、2026年度以降も継続して展開する予定です。グループ全社員を対象としたこれらの研修は、ほぼ全員が受講しています。また、動画研修の受講後には理解度確認テストを実施し、知識の定着状況を確認するとともに、実務における適切なAI活用への意識向上を図っています。
大和証券グループは、従業員一人ひとりの理解と判断力をAIガバナンスの重要な基盤と位置づけ、健全で信頼されるAI活用を支える人材育成に取り組んでいます。
※大和証券グループの人材育成・スキルアップに関する詳細な取り組みについては、こちらをご参照ください。
人材育成とスキルアップ | 働きがいのある職場づくり | 大和証券グループ本社
AIガバナンス指針
「大和証券グループ AIガバナンス指針」
大和証券グループは、環境・人権・教育・経済成長・技術革新等の社会課題を解決し、社会・経済の持続的発展へ貢献することを使命としています。これを果たすため、先端テクノロジー、特にAIの活用は必要不可欠なものとなっているところ、AIが社会・経済全体に与える影響は今後ますます拡大することが予想される一方で、AI技術には発展途上の面もあります。
このような状況に鑑み、大和証券グループは、 AIの研究・開発、AIを利用した予測・分析、AIを活用したサービスの提供等、AIを幅広く活用する企業として、社員一人一人が遵守すべき「大和証券グループ AIガバナンス指針」を策定いたしました。
大和証券グループが全てのステークホルダーから信頼され、選ばれるパートナーになり、大和証券グループが提供するサービスを安心してご利用いただけるよう今後とも尽力してまいります。
- 1.AIによる社会・経済への貢献
大和証券グループは、AIの開発・利用および幅広い活用と多様なステークホルダーとの対話を通して、社会・経済の持続的発展に貢献します。 AIの活用による公共の利益や豊かな社会の実現および金融・資本市場の健全かつ持続的な発展をめざします。 - 2.人間中心のAIの提供
大和証券グループは、人権を尊重し、不適切なバイアスのかかったAIを排除します。 AIの判断に適宜人間の判断を介在させることで、人間の生命・身体・財産等がAIによって侵害されることを防ぐよう努めます。 - 3.AIの透明性と説明責任
大和証券グループは、透明性や説明責任を重視し、判断理由や根拠を説明しやすいAIの提供並びに活用に努めるとともに、合理的な範囲でその責任を担保する文書を記録します。 - 4.AIの適正利用と適正学習
大和証券グループは、適正な範囲・方法でAIを利用し、不適切に取得されたデータや品質の悪いデータをAIが学習することを防止するよう努めます。 - 5.法令遵守とプライバシー保護
大和証券グループは、AIの開発および活用にあたり法規制を遵守します。 また、適切なプライバシー保護対策を講じます。 - 6.セキュリティとAI監視
大和証券グループは、適切なセキュリティ対策を講じ、AIシステムを監視してデータ侵害等の悪意ある攻撃を未然に防ぐよう努めます。 - 7.AIのガバナンス態勢とリテラシーの向上
大和証券グループは、第三者による牽制などAIを適切に管理する態勢を整えます。また、AIを幅広く活用する企業として、AIに関するリテラシー向上を図り、健全なAIビジネスの推進とAI活用の促進に努めます。
2023年6月23日 制定
(2024年9月1日 一部改訂)
デジタル戦略
大和証券グループは、「お客様の資産価値最大化」を実現するため、デジタル・イノベーションを経営戦略の中核に据えています。富裕層から資産形成層まで幅広い顧客層を対象に、データ活用やAIを通じた高度な分析・提案を行い、資産管理型ビジネスモデルへの転換を進めています。AIコンタクトセンターやデジタルチャネルの強化により顧客体験の向上と業務効率化を両立するとともに、生成AIやデータ基盤を活用した新たなサービス創出にも取り組んでいます。さらに、ブロックチェーン等の先端技術や外部パートナーとの連携を通じ、非連続な価値創出を推進しています。こうした取り組みを持続的に進めるため、AIの活用においては価値創出とリスク管理の両立を重視し、デジタル戦略の実現を目指しています。
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