経済・社会および投資情報についての分析・提言の発信
大和証券グループでは、総合証券グループとして、投資情報にとどまらず、経済や社会に関する幅広い情報を発信し、お客様や投資家をはじめ、長期的な視野からの政策提言を通じてさまざまなステークホルダーの皆様のお役に立ちたいと考えています。
分かりやすい情報発信
大和証券では、機関投資家から個人投資家、あるいは、これから投資を始めようとしている方まで、あらゆる層を対象に情報発信をしています。投資情報部、エクイティ調査部、金融市場調査部の専門性の高い各アナリスト・ストラテジスト等が情報発信の中核を担い、独自の分析にもとづいたレポート等を通じて情報を発信しています。綿密なデータ分析や取材にもとづいて同じ担当者が出す情報でも、投資のプロである機関投資家向けなのか、個人投資家向けなのかによって、情報の表現の仕方を工夫します。
たとえば、個人投資家向けには、視覚的なわかりやすさを重視するなどさまざまな取組みを行なっています。有価証券投資、あるいは証券会社に対して一般的に抱かれている「難しい」というイメージを払拭するべく、わかりやすい言葉使いで分析内容を伝えることも、私たちの使命であると捉えて取り組んでいます。
ESGに関する情報提供の取組み(大和証券)
大和証券エクイティ調査部は、アナリストやストラテジストが企業の財務情報や業界動向、社会経済情勢を分析・評価し、株価式価情報や投資戦略を機関投資家(資産運用会社、銀行、保険会社、年金基金等)向け中心に提供しています。
近年は、SDGsやパリ協定等の国際アジェンダの盛り上がりを背景に、環境(E)、社会(S)、コーポレート・ガバナンス(G)に関する非財務情報を中長期の投資判断に利用する投資家ニーズが高まってきました。そこで、2019年5月にESG情報を専門に取り扱うESGリサーチ課をエクイティ調査部内に新設し、財務・非財務情報を一体的に分析・評価するための体制整備を行ないました。ESGリサーチ課では、気候変動や人権・ジェンダー問題、企業統治体制、社会的インパクト等を焦点にした分析レポートの執筆やESGセミナーの開催等に取り組んでいます。
ESG情報は企業と社会全体が長期持続的に発展するために今後ますます重要になってきます。機関投資家が責任投資や企業と目的を持った対話(エンゲージメント)を通じて中長期的な投資リターンの拡大が図れるよう、タイムリーで的確なESG情報の提供に努めています。
SDGs/ESGセミナー実施件数・集客者数
- 2021年度:28件(3,326人)
- 2020年度:23件(2,461人)
- 2019年度:18件(699人)
- 2018年度:15件(447人)
ESG記載率(個別企業レポート)
- 2021年度末:95.0%
- 2020年度末:87.4%
大和総研の取組み
総合的な情報発信・政策提言活動
大和証券グループのシンクタンク機能を担う大和総研は、幅広い分析や社会に向けた情報発信を行なっています。金融資本市場や実体経済に関する総合的な情報発信、政策提言活動を行なうことは同社の使命であると考えています。情報の早さや深さ、ほかにはない独自性のある視点を常に追求し、社会のニーズに応える情報を発信するため、企業、投資家、政府・自治体などの公的機関、各種経済団体、海外のシンクタンク、メディアとの情報交換・議論を通じて、社会動向やトレンドの変化を分析し、情報を発信しています。
ESG情報の発信にも力を入れており、ウェブサイトや大和総研調査季報(季刊誌)を通じて、地域活性化、環境問題、女性活躍、働き方改革、コーポレート・ガバナンスなど、幅広い情報を発信しています。
多様な媒体による発信~大和総研~
- ウェブサイト上に掲載したレポート数:486本(2021年度実績)
- 公表レポート全文をウェブサイトに掲載
- リサーチ部門のページへの最近のアクセス件数:499万件(2021年度実績)
ポストコロナやウクライナ侵攻後の世界を見据えた情報発信への注力
大和総研リサーチ本部では、国内外のマクロ経済や金融資本市場に関するテーマを中心に調査・分析・情報発信を行なっています。とくに新型コロナウイルスの蔓延やロシアによるウクライナ侵攻を受けて、歴史的な衝撃を受けた世界経済・社会のゆくえについての分析・情報発信に注力しています。
また、中長期的な注力分野として「日本経済再生への道」「金融資本市場の課題と未来」「サステナビリティの追求」をベースに設定した上で、個別テーマを選定して取り組んでいます。なかでも重点的に取り組むテーマとして「新しい資本主義」「家計の資産形成」「SDGs/ESG」「ゼロエミッション」などを想定しています。
近年、世界的にサステナビリティ関連の情報開示の枠組み策定が急速に進展しており、発行体、投資家双方の関心が高まっています。ESG調査課を中心に関連情報の調査・分析・発信に注力しています。同課では2021年度にSDGs/ESGに関連する14本のレポートを公表し、金融法人や事業会社に対して157件の情報提供訪問を行なっています。
さらに、コンサルティング本部では、サステナビリティ支援の観点からSDGs経営・ESG投資に適したコンサルティング・メニューを提供すべく活動しています。具体的には、経営ビジョン・中期経営計画、人事戦略、DX、コーポレート・ガバナンス、組織再編を含めたM&A戦略等、企業の皆様が直面する様々な課題に対してSDGs/ESG目線で最適なソリューションを提示し、企業価値の向上に貢献する取組みを実践しています。最近では、お客様の非財務情報についての関心の高まりを受けて、環境問題(TCFD支援等)、人的資本(従業員ウェルネスレポートの紹介等)や知的財産等の無形資産に関するサポートにも積極的に取り組んでいます。
AIを活用した経済分析の取組み
大和総研は、AI(人工知能)を活用し、地域社会発展に資するため、地域別の景況感を算出した「大和地域AI(地域愛)インデックス」を2017年7月から公表しています。
人口減少と地域経済縮小の悪循環を断ち、地方創生を実現することが日本の重要な課題となっています。地方創生の推進には、地域特性に即した政策の実行とともに、地域の景気の現状を適切に把握することが必要となります。
大和地域AI(地域愛)インデックスは、最先端のAIモデルを活用し、エコノミストの知見を加味して地域別の総合的な景況感を算出した指標で、次の利点があります。
- 1.地域別の総合的な景況感を定量的かつ速報性を持って示す
- 2.地域の景況感をヒストリカルに把握する
- 3.総合的な景況感がどの分野(たとえば「消費」や「輸出」等)の影響で変化しているかを分析することができる
その他、AIを使った経済指標予測や、これまで経済分析での利用例が少なかったオルタナティブデータ(電力会社のウェブサイト上で毎日公表される電力需要量のデータ)を使って地域景気を早期に把握できるモデルを開発するなど、AIを活用した景気や地域経済の分析に取り組んでいます。
ニーズに応じた多様な媒体による発信
講演・メディア出演など
大和総研リサーチ本部では、レポート執筆、大和総研調査季報、新聞や経済誌への寄稿、マスコミからの取材対応、テレビ出演、講演会・セミナー、勉強会でのプレゼンテーション、書籍の出版、政府の審議会への委員としての参画など情報の発信を多角的に行なっています。国内外の経済や社会にかかわる複雑な事象や政策課題をわかりやすく解説することに注力するとともに、レポートの品質確保を重視しており、専門部署による審査を経ることで信頼性を高めています。その結果、情報発信は質・量ともに充実し、お客様とのコミュニケーションを図る機会は増え続けています。
冊子・書籍の発行
大和証券投資情報部は、一般のお客様向け情報の発信ツールとして、定期刊行物「ダイワ投資情報マンスリー」等を発行しています。大和証券の店頭等で配布するほか、インターネット上でも閲覧することが可能です。なお、「ダイワ投資情報マンスリー」は、スマートフォンをかざすことで個別銘柄の紹介動画を視聴することができます。わかりやすさを追求して、さらに進化しています。
また、出版社を通して発売する書籍や、金融イベント情報を入れた卓上カレンダーや壁掛け用の相場チャートなど、一般のお客様に向けてさまざまな形で情報を発信しています。
インターネットを活用した取組み
ウェビナー
大和証券グループでは、インターネットを通じ、当社グループの人気ストラテジスト・アナリストが講師を務めるウェビナーを定期的に開催しています。リアルタイム視聴はもちろんチャット機能により直接講師へ質問可能で、ライブ感のあるマーケット情報や個別銘柄の解説などを、多くのお客様にご体験いただいています。また一部の動画では、見逃し配信を実施しており、お客様のライフスタイルに合わせた視聴が可能です。
なお、2021年度はのべ約5.6万人のお客様にウェビナーへご参加いただきました。今後も、ウェビナーを通じ、より多くの方にマーケットの状況や見通しなどをわかりやすくお伝えできるよう努めていきます。
(延べ参加人数)
- 2021年度:約5.6万人
- 2020年度:約2万人
「大和証券グループ公式チャンネル(YouTube)」
大和証券グループでは、2000年から配信していた有料多チャンネル放送サービス「スカパー!」における、日本唯一の証券専門チャンネル「ダイワ証券情報TV」に始まり、2011年4月からは、インターネットでどなたでも視聴できるオウンドメディア「ダイワインターネットTV」を、2022年4月からは無料動画配信プラットフォームYouTube上の「大和証券グループ公式チャンネル」として、金融・投資情報番組を自社スタジオで制作し配信しています。1日5回、タイムリーな東京マーケットの情報を発信するほか、香港やニューヨークのマーケット情報も毎日現地から発信しています。
毎日の放送のほかにも、大和証券や大和総研のアナリスト・エコノミストなどが出演し、時節に応じたテーマをわかりやすく解説する動画レポートや、企業情報などを配信しています。2020年7月より開始した新番組(注目!世界を変える「SDGs/ESG投資」)では、同社ストラテジストがSDGs/ESG投資についてわかりやすく解説しています。
なお、「ダイワインターネットTV」の取組みについては、SDGsの企業の取組事例集(金融業界編2015年/国連GC、KPMG発行)において、目標4「質の高い教育をみんなに」の事例として、多様な金融・投資情報をタイムリーかつ無料で配信している点が紹介されています。
今後も、投資家の皆様だけでなく、投資未経験層の方々にもご視聴いただけるよう、「貯蓄から資産形成へ」の流れをサポートできるような番組作りに努めていきます。
大和アセットマネジメントの取組み
大和アセットマネジメントでは、日本の投資家の皆様の安定的な資産形成を実現するため、資産運用のプロフェッショナルとしての役割を果たすべく、日々努力を重ねております。その中で重要視しているのは、商品・運用・サポートの「クオリティ」です。特に個人投資家の皆様に対しては、投資信託をより身近な資産形成のツールとしてご利用いただく使命があり、国内外のアセットクラスをより高品質な運用でご提供すべく、自社に限らず世界の専門的な運用会社とパートナー提携をしながら商品を組成・運用を行なっております。
そこで同社は、お客様へのご説明において、よりタイムリーで、より分かりやすく、さまざまな媒体を通して情報提供できるようチャレンジを続けております。特に投資初心者の方向けには、資産形成の必要性や投資リスクとの上手なつきあい方等を販売会社セミナーを通じてお伝えしておりますが、インターネットで世代を問わず人気を博している「新R25」や「ニューズピックス」などとのコラボ企画をはじめ、マンガや動画などのコンテンツにより、若年齢層含めた広い世代へのアプローチも積極的に行なっております。
また、2021年7月には、「脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)」を設定いたしました。こちらは運用部分とは別にカーボンゼロを目指す画期的なスキームを有している、日本初のファンドです。また同社は販売会社と共に、当ファンドの残高に応じた植樹活動への寄付をすることで、投資家の皆様の資産と森を育て、共に脱炭素社会の実現を目指してまいります。当ファンドの取組みについては、東京金融賞2021 ESG投資部門 グリーンファイナンス知事特別賞を受賞いたしました。
当ファンドでは毎月「ESG関連レポート」、また年に1度「インパクトレポート」を発行しております。インパクトレポートでは、運用理念とそれを実現する投資手法、さらにその投資が環境や社会に対してどのようなプラスのインパクトを生み、どのような企業に投資することで生み出されたのか、投資家の皆様に説明しており、投資家の皆様が適切に投資判断を行なえるよう情報開示につとめています。