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大和証券グループ本社 | 大和のCSR | 持続可能性報告書2007

重要課題(2)健全な証券市場の発展に向けた取組み

健全な証券市場を維持・発展させていくことは大和証券グループの重要な責務です。そのために、単なる法令等の遵守にとどまらない、お客様や社会の信頼に応える質の高いコンプライアンスを実践します。

従業員一人ひとりがコンプライアンスの意識を持ち行動することがお客様、社会からの信頼につながる。
拡大している業界だからこそ公正な市場をつくる使命がある。

― 大和証券のコンプライアンスとは、どのようなものなのでしょうか?

島津 コンプライアンスは、単に法令等を遵守することだけではなく、お客様や社会の信頼に応えるための活動のすべてです。これには、お客様のニーズに配慮した適正な営業姿勢、証券事故等の未然防止のためのチェックシステム、反社会的勢力の排除など、健全で信頼できる証券市場を確立するためのすべての行動が含まれます。
  金融商品を扱う私たちは、より高い倫理観を持つべきです。長期の低金利時代を背景に貯蓄から投資へという流れが加速し、直接金融の比重が高まっています。大きなビジネスチャンスがあるからこそ、私たちがそこで果たすべき責任も大きいと考えています。

―しかし、営業の現場では収益重視になりがちではないのですか?

島津 「金融商品を売りさえすればいい」という営業活動をしたらどうなるでしょうか?目先の業績は上がるかもしれませんが、「リスク」や「リターン」の感覚が身についていないお客様に、「リスク」を知らせずに商品を売ったり、不必要に売買を繰り返すようなことをしたら、投資という行動自体への不信を引き起こすとともに、当社に対する信頼を失います。当社では一過性の収益だけを上げる従業員は評価しません。お客様の適性にあった提案を行い、真の信頼関係を構築することが従業員の評価につながるシステムを着実に浸透させつつあります。

―コンプライアンスと「法令遵守」はどのような関係にあると考えていらっしゃいますか?

談話風景(島津、香川)島津 コンプライアンスの基本は社会の信頼に応えることです。単に「法令に違反しなければよい」というのではありません。従業員一人ひとりが法律やルールの背景をきちんと考えて仕事をするということです。それがお客様との信頼関係を築き、営業力の向上につながると考えています。

常に仕組みを見直すことでコンプライアンスは浸透する。

―現場にコンプライアンスの考え方を根づかせるために、どんなことをしていますか?

島津 若手から管理職までを対象とするコンプライアンス研修を継続的に実施します。特に上席者には、部下を「教え」「チェックし」「守る」ことが内部監理体制を機能させる重要な精神であることを強調します。また、業務姿勢およびコンプライアンスの評価を重視した人事評価を実践しています。さらに、指示系統においても営業本部とコンプライアンス本部の一元化を進め、方向性を明示します。

香川 社内ルールの制定、運用、見直しを重ねていくことも、コンプライアンス実践の一環です。ルールは新しい商品や、市場環境の変化によって変える必要が出てきます。また、実効性を高めるためにはルールをできるだけシンプルにしてわかりやすくすることも重視しています。

―組織的には、どのようなシステムになっているのですか?

香川 適正な業務運営ができているかどうかを常にチェックできる体制が必要です。当社は本部コンプライアンス部に、エリア・グループの各営業店を担当する「コンプライアンス・オフィサー」を置き、各営業店には、営業責任者である支店長とは別に内部管理責任者を配置しています。内部管理責任者は、コンプライアンス本部に毎月報告を行なっています。
  また、営業店からの法令に関する相談はコンプライアンス部法務企画課、コンプライアンス業務に関する相談は考査課が受け、株式等の売買に関する問い合わせは売買監査室が対応するようになっています。

前田 顧客重視の営業姿勢を実践するため「乗り換え事前認可申請制度」という制度があります。これは投資信託等において、お客様に既存の商品を売却して新たな商品を購入することを提案する場合に、事前に支店長の認可を必要とするというものです。これにより不適切な乗り換え勧誘行為を防ぐとともに、投信の保有期間が長くなり資産の拡大にもつながっています。
 またそれ以外にも、お客様のニーズにマッチした取引を行なっているかどうかのサンプリングチェックや、上席者と顧客の面談制度なども実施しています。

―取組みの成果についてはどのように判断されていますか?

香川 ひとつの指標として、お客様から直接お問い合わせやクレーム等を受ける「お客様相談センター」への入電件数および内容に注目しています。(「お客様相談センターへの入電状況」参照)入電件数の7割強はお問い合わせで、残りの3割弱は苦情です。苦情の比率は減少傾向にあり、取組みの成果が表われていると考えています。また苦情の内容を分析し、問題点の把握に役立てています。

コンプライアンス体制図

コンプライアンス体制図
行政処分を厳粛に受け止め、より良い仕組みづくりに活かします。

―2006年度の姫路支店における行政処分(「行政処分とその後の改善策と実施状況」参照)は、どのようなことから起きたのでしょうか?

島津 「」という証券会社の重要な社会的使命を、社内に十分認識させられなか信頼できる証券市場を維持するったことが原因です。防げたはずの顧客のインサイダー取引を防がなかったことが行政処分の対象となりました。その後の研修では、当社の社会的使命に対する認識の重要性を強調しています。

―従業員の反応はどうだったのでしょうか?

前田 事件の背景や、従業員自らが気をつけるべきことをしっかりと伝えるため、事件後2ヵ月の間に、各役員が自ら全営業部店を訪問し研修を実施しました。この研修は管理職、営業員から運転手にいたるまで全役職員が対象で、研修中の電話応対のために近隣の支店から人員を派遣しました。
 研修後のアンケートを見ると、コンプライアンスを意識して行動することがいかに重要かを再認識したとの意見が多くの従業員から寄せられています。

島津 今回の事例を踏まえ、本人確認や不公正取引防止などを含む内部管理体制の強化について、支店長の職責や営業員の業務遂行の適切性確保といった観点から検討を行い、業務改善策を策定しました。
 このたびの処分を厳粛に受け止め、違反行為の起こらない体制を強化していくとともに、コンプライアンス意識の浸透と内部管理を徹底し、信頼の回復に努めてまいります。

優れたコンプライアンスはビジネス上の大きな武器となる。

―将来に向けて目指されることはどんなことですか?

島津 優れたコンプライアンスはビジネス上の大きな武器であり、コンサルタントとしてのバリューアップにつながります。一人ひとりが自分のミッションを理解し、それにもとづく業務内容の再確認・実行を行うことにより、コンプライアンスで差別化を図ることも可能だと考えています。大和証券は金融界No.1のコンプライアンスを目指します。

島津正樹、香川隆宣、前田淳

お客様相談センターへの入電状況

 大和証券では、コンプライアンス面での取組みの成果の指標のひとつとして、「お客様相談センター」への入電状況の分析に注目しています。
 2006年度のお客様相談センター入電件数は5,131件、うちお問い合わせは3,818件、苦情は1,313件でした。お問い合わせ件数の減少は、証券市場の不振を受けて取引件数が減少したことを反映するものと考えられます。
 「お客様相談センター」への入電件数や「苦情」件数は、取引件数の増減、市場動向や金融商品の運用成果、システム障害の有無など、多くの変動要因があるため、件数のみを単純に比較して評価することは適切ではありません。しかし、「苦情」の減少率が大きいことから、入電件数全体に占める「苦情」の比率が低下しており、これはお客様対応の成果によるところが大きいと考えています。

お客様相談センター入電件数

お客様相談センター入電件数

システム障害に関するものを除く

行政処分とその後の改善策と実施状況

大和証券株式会社に対する金融庁による行政処分について

 2005年10月に姫路支店の課長代理が化学メーカーの役員から同社の取引先名義で口座開設を依頼され、同社株1,500株の買い付け注文を受託しました。同課長代理は、当該口座開設の経緯等から同口座が同化学メーカー役員の借名口座ではないかとの疑いを持っていました。これらの行為が「内部者取引の恐れのあることを知りながら顧客の有価証券の売買を受託する行為」に該当するとして、処分対象となりました。
  また、姫路支店の支店長が「法人関係情報に係わる不公正な取引の防止上十分でないと認められる状況」であるとの判断を受け、さらに同課長代理が「本人確認法上の本人確認を行わないまま、顧客の有価証券の売買の注文を受託する行為」に該当するとして処分対象となりました。
  大和証券株式会社は、この行政処分を厳粛に受け止め、株主の皆様ならびに関係の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことにつきまして深くお詫びをするとともに、業務停止命令にしたがい、2006年12月19、20日の2日間、姫路支店での業務を停止しました。

業務改善命令および是正命令に対する対応

 当社は今後の再発防止に向けて業務改善計画を策定し、2007年1月4日に金融庁に「業務改善報告書」を提出しました。行政処分に伴う業務改善命令および是正命令、および当該命令に対する主な対応は、以下のとおりです。
  社内の管理・チェック体制を改善し、違反行為が起こらない体制を強化していくとともに、従業員一人ひとりが法律やルールの背景をきちんと考え、常識を踏まえて行動し、お客様・社会との信頼関係を築くため、コンプライアンス意識の浸透に努めてまいります。

業務改善命令および是正命令

当該命令に対する主な対応

姫路支店における内部管理体制の抜本的な見直しを図ること。

●姫路支店における内部管理改善委員会の設置
姫路支店に内部管理改善委員会を設置し、毎週月曜日に責任者である支店長をはじめとする関係者が集まり、毎週課題を抽出するとともに、前週の課題の実施状況を確認しています。
●姫路支店における研修の実施
姫路支店での業務を停止している間、支店全従業員対象のコンプライアンス研修を行いました。

今回の行政処分の原因となった事実に係わる責任の所在の明確化を図ること。

●責任の所在の明確化
役職員の責任を明確化するために、役員7名の役員報酬5〜10%の減給3ヵ月、関係職員5名の譴責・戒告を実施しました。

当社の支店における内部管理体制のあり方について検証するとともに、再発防止策を策定し、実施すること。

●社内規程およびシステムの改訂
インサイダー情報に関与する立場の投資銀行部員が一切の売買注文発注を受託できないようにしました。
●情報の遮断
投資銀行部員の業務環境を、ブローカレッジ部門と物理的に分離し、情報の遮断を図りました。
●売買監査部門の独立
コンプライアンス部内に所属していた売買監査部門を独立させ、インサイダー取引をチェックする中核部門と位置付け、人員も8名から14名に増やして取引管理業務を強化しました。
●電話録音システムの導入
お客様との電話による会話をすべて録音できるシステムを2007年9月までに全支店に導入します。これにより、録音をもとにした具体的なモニタリングが可能になります。

研修等により全役職員に対して法令遵守意識の徹底を図ること。

●全営業部店におけるコンプライアンス研修の実施
今回の不祥事から多くを学び、コンプライアンスの浸透を図るために、2ヵ月にわたり役員が全国全117ヵ店を分担して回り、すべての従業員を対象としたコンプライアンス研修を実施しました。

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