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大和証券グループ本社 | 大和のCSR | 持続可能性報告書2007

第三者意見 後藤 敏彦氏
環境監査研究会 代表幹事 NPO法人 社会的責任投資フォーラム 日本代表理事 後藤 敏彦 氏

 NTT系のポータルサイト環境gooによる報告書の読者調査ではワーク・ライフ・バランスは永年にわたり関心事の第一位ですが、多くの企業では開示必要性の認識度は高くありません。そうした一般的な状況のなかで、前年に続き、社長の緒言で従業員、特に女性について多く語られているのは素晴らしいと感じました。各種制度の利用実績の増加や、有給休暇消費率も着実に上昇しているのは方針や制度が定着してきていることを示すものと理解しました。

 重要課題の特定プロセスを解説されているのは先進的ですが、もう少し詳しいとより好感が持てます。その重要課題@の「投資に社会的視点を」というところで、「日本の環境技術は世界で最も高いレベルにある」という認識が示されています。政治家、官僚、さらには産業界までがこういう認識を示していますのでやむを得ませんが、実態は必ずしもそうとは言いきれません。
 ハイリゲンダムのG8で2050年に世界全体で温室効果ガスの50%削減についての一定の合意がされたことの意味は重大です。温暖化についての人為起源説の科学的論争に政治が決着をつけたということと、このままの延長線BAU(Business as usual)では人類滅亡の危機の可能性があるということを政治が認識せざるを得ない状況になったということです。回避策はここ10〜15年の取組みがキーといわれます。全世界で50%ということは、日本は80〜90%削減しないと世界の納得は得られないだろうと思われます。農業革命、産業革命に次ぐサステナビリティ革命という文明史的大変革期なのです。抜本的なイノベーションや新しいビジネスモデルにチャレンジしているか、本当にレベルが高いかなど個別企業ごとに調査し正確な情報を獲得し、活かすことが重要と思います。今こうしたことに取り組んでいない企業は10年後には消滅しかねないと思います。「本業についての働きかけはまだ低め」と率直に書かれていることは好感が持てますが、これこそが金融業でのCSRの重要なポイントということを浸透させていただきたい。

 帳票類電子化により紙使用量を大幅に削減できたことなど、環境の取組みの実績も上がり、自社の環境負荷の削減に対する意識が高くなったことが示されています。とはいえ、ISO14001やエコアクション21などの既成の環境マネジメントシステム(EMS)は使わず独自の仕組みで取り組んでおられますが、外部には必ずしもその仕組みがよく見えません。大和のEMSを見えるようにし、環境方針、目的、目標、実施計画など明確にわかるようにするとよいと思います。その際は前年もアドバイスしましたように生物多様性についても触れていただきたいと思います。世界的に、著名なアメリカのNGOが全世界で生物多様性にとって重要な地域をホット・スポットとして34ヵ所を指定していますが、日本は列島全体がそのひとつとして指定されています。2010年には生物多様性条約のCOP10が名古屋で開催される可能性が高いのですが、民間の取組みが注目される国際会議になりそうです。第六の大量絶滅期といわれる現代、世界から熱く注目されている日本列島はもちろん全世界での取組みを情報提供することは、企業にとってレピュテーションという面でも絶好の機会と考えます。

 報告書作成に関しては、マイナス情報の記載や、提言させていただいたウェブの活用なども進み、また2006年に指摘しましたPDCAサイクルにおけるチェック、アクト情報も増えてきており、継続的に改善が進められていますのはたいへん結構なことと思います。

 しかしながら、依然として定性的記述が多いのは改善の余地があると考えます。課題目標の数値化の努力も信頼性向上のため必要と考えます。詳細な数値情報を記載することで読みづらくなる場合はウェブを活用すればよいと思います。
 ところで、コーポレート・ガバナンス憲章、自主行動規範の策定の進捗状況はどうなっているのでしょうか。策定を公表したからには状況について説明する必要があると考えます。
 表紙や裏面上の従業員の赤ちゃんの写真や、金融教育での多彩な取組みは次世代への熱い思いを表わすものと推察しますが、言葉でも次世代をもう少し強調してもよいと思いました。それでこそ「持続可能性報告書」です。

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