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対話で考えるCSR

第26回:「非人道兵器とSRI」 2010年6月8日

<写真>目加田説子氏

目加田説子氏
中央大学総合政策学部教授、地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)理事
ジョージタウン大学修士課程、コロンビア大学修士課程、大阪大学国際公共政策研究科博士課程終了(国際公共政策博士)。日本国際交流センター、経済産業研究所研究員、東京大学客員助教授などを経て現職。著書に『行動する市民が世界を変えた―クラスター爆弾禁止運動とグローバルNGOパワー』(毎日新聞社 2009年)、『地球市民社会の最前線』(岩波書店 2004年)、『地雷なき地球へ―夢を現実にした人びと』(岩波書店 1998年) など。

地雷化し、人々を苦しめるクラスター爆弾

<写真>目加田氏

河口:
クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)が、2010年8月に発効されます(*1)。まずは、クラスター爆弾とは何か、ということからご説明いただけますか。

(*1)この対談は2010年6月8日に行なわれました。

目加田氏:
クラスター爆弾とは、ひとつの大きな爆弾のなかに、小さな爆弾が数個から数百個ほどつまっている爆弾です。空中で分解し、小さな爆弾が広範囲に飛び散るしかけになっています。
ばら撒かれた子爆弾は、設計通り爆発しなかったり、積雪等やわらかい地面の上では爆発しないことが多く、不発弾になってしまうことがあります。テニスボールや空き缶に似た形をしているので、子どもたちが「何だろう?」と手に取り、爆発してしまう。そのため、被害者の96%が子どもなのです。

河口:
不発弾が地雷化してしまうのですね。

目加田氏:
はい。不発弾に触れたときはもちろん、近づいた振動でも爆発することがあります。そのため除去が難しく、長きに渡って戦後復興の足かせとなります。ラオスではベトナム戦争時に大量のクラスター爆弾を投下され、いまだに被害に苦しんでいます。

河口:
戦争が終わってからもずっと被害が続くんですね。

無差別性が高く「悪魔の兵器」と呼ばれる

<写真>河口

河口:
でも、通常のミサイルとか大砲とか他の兵器も人を殺すのは同じという気もするのですが。そのなかで、クラスター爆弾や地雷が特別「非人道的」と呼ばれるのはどうしてですか。

目加田氏:
確かに、兵器はすべて非人道的だともいえますが、防衛上必要な兵器もあります。なにをもって非人道と定義するのか。それは、国際人道法(*2)で定められています。「戦争時に、武器を所持していない民間人を殺してはいけない」「不必要な苦痛を与えてはいけない」、これらに反する行為を非人道的だとして禁じています。

(*2)国際人道法:武力紛争(戦争)において、人道的な取り扱いを定めた国際法のこと。「国際人道法」という名称の条約は存在せず、ジュネーブ諸条約を中心としたさまざまな条約と慣習法の総称が「国際人道法」と呼ばれる。

河口:
国際関係論の素人からすると、兵器に人道的と非人道的があるというのは、すぐには理解しづらいところがありますが、非人道兵器は、その中でも人道的にひどすぎるということですか、

目加田氏:
そうです。広範囲に飛び散るクラスター爆弾は攻撃の的を絞ることが難しいために、民間施設や民間人が犠牲になってしまいます。その無差別性が、非人道と呼ばれる理由のひとつです。
また、「不必要な苦痛を与えてはいけない」という定めにも抵触しています。損傷の激しさや、紛争が終結した後にも不発弾が長期に渡って人びとの生命を脅かし続けることが問題視されてきたのです。

河口:
人間ってこれほど残酷な兵器をよくも思いつくものですね。そして最後には、罪のない人々や子どもたちが一番被害にあう。

目加田氏:
大人が命を落とさないまでも、子どもはほとんど助かりません。交通網や通信手段が十分に整備されていない途上国では、病院に行くまでに時間がかかりますから、その間に大量出血で命を落としてしまうのです。

河口:
そういう、話をきいてると胸がつまりそうです。

条約発効を目前に、米軍がクラスター爆弾で実弾演習を実施

河口:
日本は平和が長く続いたため、戦争や兵器の話は自分たちには直接関係がないと思ってしまいがちです。

目加田氏:
そうですね。けれども、日本でも自衛隊はクラスター爆弾を保有しています。また、在日米軍はクラスター爆弾の実弾を用いた演習を行っています。つい最近、2010年5月にも実施したばかりです。

河口:
米軍が。どこに投下したのですか?

目加田氏:
沖縄近海です。鳥島射爆撃場(*3)等の演習で使用されたことが確認されています。

(*3)鳥島射爆撃場:島全体が米軍の演習場となっており、実弾による射爆撃訓練が行なわれている。

河口:
その島には不発弾がたくさん残ってるだろうから、だれももう上陸できなくなっちゃいますね。

目加田氏:
もちろん立ち入り禁止にしています。しかし、不発弾が漁業中の船舶と接触する危険はあります。
普天間基地移設問題とあわせて、沖縄の人たちは射爆撃場がある島々の返還を訴えています。実弾演習の為に岩国基地などから飛来する戦闘機による騒音問題もありますし、安全面、漁業、環境保護の問題もあります。すでに鳥島は、度重なる射爆撃訓練のため原型をとどめていないという報告もあります。

河口:
これは遠い国の出来事ではなく、日本国内でこんなことが行なわれているんですか。ほとんど日本人は知りませんよね。

※大和証券投資信託委託ではクラスター爆弾に関する方針を策定しています。
「クラスター爆弾製造企業への投資その他の取扱いについて」

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